深くて甘いところ２（Ryosuke. Daiki. Kei）

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婚約破棄がそんな簡単にまとまるわけがない。

そんなことは当たり前だった。


ここから、根気よく話し合うことになると思う。

だけど式まであと１ヶ月。

そうゆっくりはしてられなかった。




とぼとぼと歩きながら、涼介が浮気をしていたことを思い返していた。

浮気をしていたこと自体は、とっても意外だったけれど。

その浮気を知って、自分でも驚くほどショックじゃなくて。

なんだろう。むしろ、少し気が楽というか…。

罪を犯していたのは私だけじゃなかった、というか…。




やっぱり、涼介に対する気持ちがなくなってきているんだ。




有岡にたいしては、元カノにでさえヤキモチをやいていたのに。


私の気持ちは100%有岡に向けられているんだと、改めて気付かされた。




ふと、裕翔の昨夜の言葉を思い出す。

『早まるなよ。山に言う前に俺に言えよ』



裕翔は心配してそう言ってくれたのに。

裕翔に相談せずに、涼介に話しちゃって悪かったかな。




私はバッグからスマホを取り出すと、裕翔にLINEをした。



『おはよう。さっき涼介と結婚をやめたいと話してきました。報告が後になってごめんなさい』






簡単な文章だけど、裕翔には伝わるはず。


スマホを再びバッグに押し込むと、私は有岡の家に向かって歩き出した。

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