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まぁ騒いでも喚いても一人ってのは結局変わらないので。えぇ
私はもうスタッフさんとか監督がいるだけマシって思うようことにしました。
本当にここまでくると逆に感心してくる。
気持ちは何回引いても掠りもしない大爆死した時のそれに近い。世界そのものにも物欲センサーはあるんだなぁ……
『うおっと…っ!済みません』
「あぁ、いえ…こちらこそ」
曲がり角で思わずぶつかりそうになるのをギリッギリでの回避。っぶねー、セーーフとか思っていれば今しがたぶつかりそうになった方はそこから動かずにじっとしている。
「司ちゃん…?」
『え、あっ真綾さんだー!』
何だろうなぁ、邪魔かなぁなんて思って端に寄ろうとした瞬間思いがけず名前を呼ばれて視線を飛ばす。
凜とした佇まいに綺麗な黒髪ショートの美人なお姉さん、もとい鈴村さんの奥さんである真綾さん。前に一度共演がしたきり中々ご縁が無いけれど、あれから何かと話し掛けたりしてくれる優しい方である。
同業者で且つ知り合い、に見事に当てはまる方との遭遇に、この通り飢えていた私には予期しない再会に思わずテンションが上がる。
『お久しぶりですー!
あっそうだ、体調大丈夫なんですか?前に休演なさる…と、聞……』
「っ…!」
『ッッ!!?』
此方を見据えていた真綾さんの綺麗な瞳からポロリと涙が流れていった。呑気に口に出そうとしていた言葉が吸い込んだ息と共に引っ込んで体の奥へと落ちていった。
なっっ泣っ!!!?
『あ、あああの、大丈夫ですかっ!もしかしてお加減が優れなかったり!?スタッフさんお呼びします!?』
突然の涙にピャッッと背筋が伸びるのを自覚しながら、慌てながらにもハンカチを差し出したのは良くやったと我ながら褒めてやりたい。
ハンカチを受け取ってくれたことに安堵していれば、呼ばなくて大丈夫、と嗚咽まじりの声が微かに聞こえた。
「司ちゃんの姿見たら、安心しちゃっ、て」
___前言撤回。良くやってないぞ柏村司。
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愛夢(プロフ) - 紀章さん好きには堪らない作品ありがとうございます!!更新頑張ってください! (2023年2月6日 18時) (レス) id: 1fb4caaf97 (このIDを非表示/違反報告)
最小幹部 - Yuiさん» Yuiさん、返信大変遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます!マイペースに更新しているのでまた覗いて頂ければ幸いです(*^^*) (2022年2月6日 20時) (レス) id: 1b7127d9e3 (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 紀章さんファンなんで小説を作成してくれてすごい嬉しいです!続きを楽しみにしてます! (2022年1月16日 13時) (レス) @page5 id: 3c14c8fbd4 (このIDを非表示/違反報告)
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