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14時間目 動揺 ページ15

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「……ど、うした。煩いぞ、図書室では静かにするのが常識だろ、」



バタバタと机の上に並べてあったノートや本を纏めだす白川は
贔屓目に見ても慌てていると分かった。

当然だ。今まで私がこうして奴を訪ねる事など無かったし、
何よりここ一週間、あの保健室での一件以来奴と私は一言も喋っていなかったのだ。



「――――現在進行形で遅刻してるやつが常識を語るな、良いから来い」



動揺している奴の腕を掴み、半ば無理矢理図書室の外に連れ出す。

思えば奴に触れたことも今までなかった気がする。
ひょろそうに見えて存外筋肉あるんだな、とか、咄嗟にそんなことを考えてしまった。
おいやめろ。此奴相手に何考えてる、変態か。

邪な考えを払拭するかのように廊下を早足で進むと突然引っ張られるような感覚。

すぐに、引っ張られた訳ではなく、
図書室から腕を掴んでいたままだった奴が止まったのだと分かった。



「……おい、いつまで掴んでる、離せ」



後ろから白川の不機嫌そうな声が聞こえる。

文字通り図書室から引きずり出してきたのだが、
奴を掴んだままだということをすっかり忘れていたのだ。



「嗚呼、忘れてた、ごめ……」



そこで思わず言葉が途切れる。
振り返って一番に視界に入った奴のその顔が真っ赤に染まっていたからだ。

その余りの衝撃に私も固まってしまう。

何で照れてるんだ此奴は。
まさか私が触れたからか、いやまさかそんな。



「……他人を理由もなくジロジロ見るのは不躾だと習わなかったのか、非常識な女だな」



真っ赤な顔でそんなことを言う奴に、もう嫌悪感は余り抱けなかった。
何だ、この何とも言えない気持ちは。変な気分になる。

ぐるぐるとした考えを振り払うように話を逸らす。



「……非常識はお前だ、陽くん校門で待ちくたびれてたぞ」

「待て、何故お前が陽を―――――」



言いかけて、奴は嗚呼、と呟く。
待ち合わせしてたんだったな……と眉間に皴を寄せながら合点がいったように呟いた。



「……え、マジで忘れてたんだ。そういうの厳守するタイプだと思ってた」

「――――普段なら、こんなこと絶対しないんだがな」



集中力が散漫だった、と吐き捨てるように話す奴に、思わず訊いてしまう。



「…………やっぱりあの日の事引き摺ってるの、」




その瞬間、びくりと奴の肩が跳ねる。それと同時に歪む奴の顔。
嗚呼、此処最近、私はお前にそんな顔をさせてばかりだ。



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真宮寺陽のピアス


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設定キーワード:オリジナル , 恋愛 , ケンカップルは至高   
作品ジャンル:ラブコメ, オリジナル作品
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ぴのいちご(プロフ) - 夜澄ソラさん» お褒めの言葉頂き嬉しいです……!元々自己満足で自分の好きな物を詰め込んだだけのものなので好き嫌いは別れても致し方ないのかななんて思います、コメントほんとにとっても嬉しいです、ありがとうございます! (1月5日 23時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
ぴのいちご(プロフ) - 颯貴さん» 初めて長編小説を書かせて頂いたのですがそう言っていただけてとても嬉しいです……!これからもゆるゆる更新させて頂きますのでよろしくお願い致します……! (1月5日 23時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - 夜澄ソラさん» ほんとにそれ。(あっFF外から失礼します)なんでこんな低評価なん?理解できないんだけど (1月5日 23時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
夜澄ソラ(プロフ) - 一気に読んでしまいました。こんなに評価が低いのが理解できないくらい面白かったです……!続きも楽しみにしています! (1月5日 23時) (レス) id: 1c9f7aabed (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - おもしろかったです!普通に書店に並ぶ本を読んでたみたいで笑いかにも文才ある感がある文章でそれに比例する内容の面白さ、とても面白かったです!続き待ってます(*´ω`*) (1月5日 20時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴのいちご | 作成日時:2021年1月3日 12時

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