15時間目 決意 ページ16
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私の問いに対しての動揺を隠すようにかちゃりと眼鏡を押し上げる奴。
赤くなったり青くなったりと今日は奴の色々な表情を見ている気がする。
――――いや、その原因は全て私にあるのだが。
「……まあ、アレを引き摺っていないと言えば嘘になる。
事実俺はここ数日お前を避けていたしな」
「…………数日どころじゃないけどな、1週間だぞ1週間」
態と嫌味っぽく言えば、奴は『数えてたのか』と意外そうに此方へ問いかける。
いややめろ、数えてねえわ。別にお前なんてどうでもよかったけど
周りが騒ぐから嫌でも覚えちゃったんだわ。勘違いすんなよ。
――――なんて、心の中でボロクソ言っても表に出さないあたり、
私もこの一週間で随分と変わったのだろうと思う。
代わりに私は極めて慎重に、一番気になっていた話題を切り出す。
「……あのさ、」
「…………なんだ、」
「……私の事、本当に好きなの?」
いやもっと言い方があっただろ、学習しろよ、私は馬鹿か。
言ってから後悔する。保健室でも似たようなことを言った結果あんなことになったのに。
慌てて『言い方間違えた、ごめん』と付け足したが、奴からの返事はない。
これはいよいよブチギレたのではなかろうか。
当然だ。言いたくないことを何度も聞かれたら誰だって嫌に決まって――――
「――――好きだ」
「…………!」
――――その瞬間、比喩表現ではなく、本当に息が止まった。
奴が、此方を見据えて余りにも真剣な顔をして言うものだから。
待て待て待て。いや言わせたのは私だが。落ち着け私。嗚呼どうしよう。頭が働かない。
「……お前にとっては、迷惑な話なのかもしれないが、」
「違、……吃驚しただけで、あの、あー……」
あれほどまでに嫌っていた”犬猿の仲”の男のはずだった。
正直なところ、関わってきたときには『迷惑だ』と思っていたのも事実である。
でも。今こうして告白されて。
迷惑だろうと言われて、咄嗟に否定の言葉が出た自分がいるのもまた事実なのだ。
私にこうして自身の気持ちを伝えてくれた白川に対して
今私がしなければならないのは、
同じく自身の気持ちを嘘偽りなく本人に伝えることではないだろうか。
意を決して、息を大きく吸い込む。
そして、私は。
「…………白川、わたし―――――」
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綾木 麗(プロフ) - めっっっちゃ好きです(語彙力) (2022年11月6日 23時) (レス) id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
ぴのいちご(プロフ) - 夜澄ソラさん» お褒めの言葉頂き嬉しいです……!元々自己満足で自分の好きな物を詰め込んだだけのものなので好き嫌いは別れても致し方ないのかななんて思います、コメントほんとにとっても嬉しいです、ありがとうございます! (2021年1月5日 23時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
ぴのいちご(プロフ) - 颯貴さん» 初めて長編小説を書かせて頂いたのですがそう言っていただけてとても嬉しいです……!これからもゆるゆる更新させて頂きますのでよろしくお願い致します……! (2021年1月5日 23時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - 夜澄ソラさん» ほんとにそれ。(あっFF外から失礼します)なんでこんな低評価なん?理解できないんだけど (2021年1月5日 23時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
夜澄ソラ(プロフ) - 一気に読んでしまいました。こんなに評価が低いのが理解できないくらい面白かったです……!続きも楽しみにしています! (2021年1月5日 23時) (レス) id: 1c9f7aabed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴのいちご | 作成日時:2021年1月3日 12時