88 ページ38
それが確信に変わったのは、緊急で開かれた集会の数日後だった。
その集会にも、私は置いて行かれた。
来んな。その一言が冷たくて。どうして？とは聞けなかった。
半間はもういないはずなのに。
以前とは何処かがおかしい様子と、なぜか距離を感じる日常に、不安が募っていった。
その日もハルは昼間からムーチョに呼ばれて行った。
特攻服に着替えて。
そして、ムーチョからの電話に出たハルの顔は覚悟を決めた顔をしていた。
行ってらっしゃい。としか言えない自分の声が小さくて、ハルはチラッと振り返っただけで何も言わなかった。
夜。いつもはとっくに夕飯を食べている時間だが、まだハルは帰ってこず。
もちろん連絡もない。
ソファーで1人、ご飯を食べずに膝を抱えて待っていた。
今日のご飯はハルが以前おかわりしていた生姜焼きだ。
本人は何も言わなかったが、きっと口に合っていたのだろう。
後は焼くだけの状態で放置してある。
ぐぅ。とお腹は鳴るが、どうしても1人で食べたくなかった。
1人で食べるご飯は味がしないから。
抱えた膝の上に額を乗せて、静まり返った部屋に聞こえる秒針の音に耳を傾けた。
程なくしてガチャっと開いた玄関の扉の音に顔を上げる。
廊下に聞こえる足音と、リビングの扉が開かれる音にソファーから立ち上がった。
『おかえり……なに？その服』
東卍の黒い特攻服ではなく、赤い特攻服。
形も違う。
「……A、出て行け」
『は？』
「もうここには来んな
俺にも関わるな
…マイキーの家にでも行け」
『は？ちょっ、意味わかんない
なんで？』
その質問にハルは一瞬目を逸らしたが、一歩前に出て私を冷たく見下ろした。
出会った頃のような…いや、それよりも冷たい。
まるで敵に向けるような冷たい緑色の瞳。
「東卍を抜けた
俺は今、東卍の敵だ」
だから、私に出て行けと？何も繋がらない。
『……私、東卍じゃない、けど…』
出て行けと言われたことが、思っていたより胸に刺さって声が震えた。
「お前にそばでうろちょろされると迷惑だ
だから、二度と俺に関わんな」
ハルの言葉がいちいちうるさいくらいに頭に響く。
ドクドクと痛いくらいに心臓が脈打つ。
でも、
『…わかんないよ、なんで？？』
それよりも、
「っせぇな！！
出て行けっつってんだよ！！
いつまでも人の迷惑も考えずに居座りやがって！！」
私を睨むハルが、
「目障りなんだよ！！
テメェの赤が！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 649人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉兎(プロフ) - 朝はパンよりご飯派さん» ありがとう！！！｡+ﾟヽ(*✪▽✪*)ﾉﾟ+｡ 頑張るね✨✨ (2022年8月25日 19時) (
レス) id: 29d9966584 (このIDを非表示/違反報告)
朝はパンよりご飯派 - １００話達成、続編３、、、おめでとう🎉これからもがんばってね。 (2022年8月25日 18時) (レス) @page50 id: 913863b25c (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 雪兎さん» 昨日は大量に更新できました🥰 喜んでいただけてよかったですっ！！ そしてお待たせしました！！3もよろしくお願いします☺️ (2022年8月25日 16時) (レス) id: 29d9966584 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎 - 今日の昼まで用事があって見れなかったけど、開いたらめっちゃ更新されてて舞い上がりました！！続編待ってます^ ^ (2022年8月25日 13時) (レス) @page50 id: e83ca5f3e2 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - あさん» ありがとうございます！！✨ 今日中に3に移行しますので少しお時間ください！(≧ω≦ ) (2022年8月25日 11時) (レス) id: 29d9966584 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉兎
| 作成日時：2022年8月13日 19時
