頑張リ屋 ページ6
ポートマフィアの長と会ってきた。それを言ったら包帯さんは笑い出し、皆には心配された。
『それにしても、あの白衣の男がポートマフィア
ただの町医者にしか見えなかった。
国木田さんに長々と説教された後、社長会議をほっぽり出した事を責めない代わりにと、ポートマフィアとの数分間の密会を報告書にまとめるハメになった。
『本当、慣れないメッセンジャーの仕事なんて引き受けるべきじゃないわね。』
そうぼやくと、隣から包帯さんが小声で話しかけて来た。
「済まないね、麗華ちゃん。あの場面で自分が伝えに行くのは少々リスクが高かったものだから…色々考えると、君にしか頼めなかったのだよ。」
『別に、謝らないで良いわ。これで早く日常が返ってくると思えば安いし、私も前々からポートマフィアのトップには会ってみたいと思っていたから。』
「会ってみたかったのかい?何故?」
『何故って、あのポートマフィアのトップよ?気になるじゃない。』
「え?じゃあメッセンジャーの役割を引き受けてくれたのは、」
『興味本位。』
「あ、そう…」
『まあ、流石に最初は驚いたわ。あのポートマフィアに伝言なんて。
あの、森さん?とは元々親しい間柄なの?』
「親しい??まさか!想像するだけで吐きそう!!あっ。ゴホン、彼は私の事を暗殺しようと目論んでいてもおかしくない。彼に世話になっていた時期は長かったけれど、今はきっと私の事を恨んでる。」
『…』
気の緩みなどとは無縁な彼が、過去の事を自分から漏らすなんて珍しい。どんな風の吹き回しかしらと横目で伺うと、包帯さんは眉間を揉んでいた。
なるほど、思考力が鈍ってるのね。
『疲れてるの?』
「まあ、少しだけね。」
『嘘ね。包帯さん、
ここでも良いから寝て。』
コンシーラーで隠しきれていない隈が、彼の目の下に浮かんでいる。
誰かの裏で、誰よりも動くのが包帯さんだ。睡眠薬を混ぜた珈琲缶を渡したくなるのを必死で堪える。
「でも、」
『あら、男に2言?』
「はは、麗華ちゃんには敵わないね。でも、この状況下で手を止める訳にはぐッ!!?」
ぐだぐだと言い訳を並べようとする包帯さん。説得しても無駄だと分かったので、さっさと気絶させた。
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作者名:ミカン酢 | 作成日時:2022年10月22日 16時