逆手ニ取ラレテ ページ14
──その時。尾崎さんが、サッと小さく手を上げた。
まるで、合図みたいに。
『！』
手を下ろさせようとしたその瞬間、全方位から黒服の男達が走ってきた。全員がごつい銃で武装している。
「夜叉白雪！！」
鏡花が金切り声で叫んだ。鏡花の夜叉白雪が、黒服の男達の銃を切り刻んでいく。
怯む男達の首へ、刃が──
敦君が跳躍し、その刀を虎の爪で止めた。
「殺しちゃ駄目だ、鏡花ちゃんっ！！」
「あ、」
『【クラッチ】！…ナイスよ敦君。』
──ﾊﾞｷﾎﾞｷﾞｯ！！
男達の関節を極め無効化した後、笑い続ける尾崎さんに向き直る。
『何がおかしいの？』
「まだ分からぬのかえ？鏡花──。
そなたは、目的の為にあらゆる
鏡花の顔から一気に血の気が引いた。
怒りの表情で飛び出した敦君を、尾崎さんの方の夜叉が足止めした。
「黙れ…それ以上彼女を傷付けるな！」
敦君が必死の表情で叫んだ。
『よそ見しちゃ駄目！』
目にも止まらぬ速さで、何度も鋭い刃が振り下ろされた。あっという間に体中に穴を開けられた敦君が、血まみれで倒れる。
「ぐっ…」
「そなたは
でなければそのような、夜叉を武器として使うなどという事ができる筈がない。
何故なら夜叉白雪は──そなたの両親を惨殺したのじゃから。」
鏡花が息を呑む。敦君が、恐怖にも似た混乱を浮かべた瞳を向けた。
「そんな…どう、して……？」
「ち、違うの…これ、は、」
震える鏡花の手から、スルリと携帯電話が落ちた。ガシャンッ、と勢い良く地面にぶつかり、画面にたくさんのヒビが入った。
『！』
途端に、夜叉白雪の姿が溶けるように消えた。
それに気を取られる間もなく、もう一体の夜叉が、私に向かって刀を突き出してくる。
それを何とか
──無駄な抵抗は命とりじゃぞ？
その言葉、その態度…そして、いつの間にか逆転された、今の状況。
『最初から、作戦の内だったのね。』
「はて、何の事かのう？」
私が尾崎さんから情報を抜き取るために、異能力を使って生きたまま拘束するという流れ。予想するのは容易だっただろう。
様々な手を使って私達を徹底的に襲っても、私達は人を殺せない…でも、あちらは私達を殺しにかかってくる。
この
『流石ね、ポートマフィア…』
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作者名：ミカン酢 | 作成日時：2022年10月22日 16時
