鍵盤上の踊り場の上で文化祭編 (ページ26)

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僕とピアノページ26

ふと、Aの右足が、僕の左足に当たった。気のせいかな、と思っていたら。
Aはペダルを僕と一緒に踏み始めた。ぎこちなく、けれど確かに。
そのことに、少し驚愕した。
右足、なのに。
消えた、右足であるはずなのに。
無意識に、Aを見た。Aは、先程よりも自慢げに笑っていた。
…克服、出来たんだな。
心の中で、僕は笑っていた。それはきっと、僕の表情にも音にも出ていただろう。
響くハーモニーは、僕らの心に静かに浸っていった。ピアノの音色は、2つに別れて、また繋がった。それが今までの僕らを表しているようで、そんな感覚に、僕はうれしくなっていた。
あの日。あの日の僕は、曲に込める想いについて模索していた。
何を願えばいいのか。何を叶えようとすればいいのか。
それは今でもわからない。もしかしたら、一生かけても見出せないかもしれない。
けれど。
だからこそ、面白いのだろう。
だからこそ、音楽に没頭してしまうのだろう。
正解のないこの世界に住む意味を、見出したくて。
音楽をする意味を、見つけたくて。
けれど、その意味はまだわからない。
だから、今の僕は。
せめてもの感謝の気持ちを、君に届けたい。
音楽という、君と共に作り上げた魔法を使って。
A。
僕は口下手だから、言葉には出来ないけれど。
この曲を通して伝えたい。
ありがとう。
ありがとう。

僕は、ピアノが大好きだ。