今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:1,533 hit
小|中|大
君 ページ21
生徒を途中まで見送った後、Aは少し怒った声でこう言った。
「あれって本気なの?」
もの凄く嫌そうな顔をしている。そんなに嫌だったのだろうか。なんだか申し訳ない。
「…さぁ、どうだか」
「私に彼氏がいたらどうするの?」
「…え?」
Aはかなり真剣な顔でこちらを見る。え、本当にどうすればいいんだ?
「ま、いないけどねー」
「…びっくりした」
安堵して、僕は胸を抑えた。心臓に悪いぞ、ほんと…。
「だって、私は…」
Aはそう言って、言葉を発するのをやめた。顔がまだ、先程の赤みを帯びている。
「なんだ?」
「…やっぱり言うのやめます。相原先生っ」
「だからやめろって、その呼び方」
からかってそう呼ぶAのことを見て、僕はまた笑っていた。こんなに笑うこと、中学生の時はなかったのにな。
変えてくれたのは、きっと。君なのだろう。
…人が変わることも、悪いことではないらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紗由紀 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sayukinopurofu/
作成日時:2022年6月29日 20時