笑顔 ページ13
「私ね、合唱祭の前の日に聞いちゃったの。私が義足だって気づいて、それを嘲笑ってる人の声が」
ふと、その言葉で何年か前の自分とAが重なった。Aも、あんな想いをしたのだろうか。もしかしたら、それ以上の。人を、信じられなくなるような。
「それ聞いたらね、怖くなっちゃったの。私って、ピアノ弾いてもいいのかな。音楽をしてもいいのかなって」
その気持ちを僕は十分理解出来た。僕だって、同じように悩んだ時期があったから。
「でも結局、私には音楽がないといけない。そう気づかせてくれたのは相原くんだよ」
そう言って向けられた笑顔は、何にも変え難いものだった。Aにしか出来ない、Aだけの笑顔。
ここ最近、わかったことが1つある。
大好きは、そう簡単には壊れない。心のどこかに、大嫌いの瓦礫の中に、たった一欠片でも「大好き」はある。
Aは、きっとこれからも変わらないな。いや、変わらないでいてほしい。そう願ってしまうのは、僕が出逢った「AA」という人物が、あまりにも素敵だったから。
僕の好きなAは、明るくて、素直で、ピアノが大好きで。
笑顔が世界一似合う少女だから。
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作者名:紗由紀 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sayukinopurofu/
作成日時:2022年6月29日 20時