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私の主は朝に弱い。
私が起こすまで惰眠を貪って私が起こさなければ昼が過ぎてお腹が空くまで、下手したら夕方まで寝ていることだろう。
それがなぜか今朝はシーツの乱れと温もりだけを残して姿が見えない。
急な任務で出かけたのかと思ったけど、着替えた形跡がないから首を傾げていると背後のクローゼットがカタリと鳴った。
「……！」
軋みではなく何かがぶつかった、または揺すれて当たった音に自分でも驚くほど素早く振り返った。
「……怖いんですが」
咄嗟に出た独り言が敬語なのはもう意識の範囲外。部屋に落ちる光と静寂の中、じりじりとクローゼットへ近寄った。
耳を押し当てて、真正面に立たないようにゆっくり開け放った薄暗闇を、息を殺して覗き込んだ。
ダダダダッ！
「と、とととん、とん、とんと、ととんトントンさんんん！！！」
「なんや朝からトントントントン言いおってモールス信号でもって、ちょお待ってお手て握るのなんで、ちょ、」
誰かいないかと駆け込んだ食堂で、朝ご飯中のトントンさんに縋った。向こうも向こうで何か焦っているみたいだけど今はそれどころじゃない。
「ゾゾゾムさんの部屋にっ！」
怯えて丸まる小さな体躯。いささか短めの茶色から睨む緑眼。
「はえ〜」
クローゼットの中を確認したトントンさんの一言で私の見間違いではないと悟った。
「ちっこいゾムやん」
そこには私たちからまじまじ観察するのを嫌がって小さな獣耳を伏せて尻尾を抱えているゾムさん…によく似た子どもがいた。
「隠し子、ですかね？」
「ゾムが？まぁ昔ならありえるけど今はなぁ…コイツの年にもよるけどなんとも言えんな」
年の頃はだいたい5から6歳ぐらい。隠し子だとすると7〜8年前には子供が出来てることになる。
「大事件ですか？」
「や、獣人ならあることやけど」
「…………」
それにしても可愛い。ゾムさんそっくり。彼が小さい頃はこんな感じだったのかな。
「ねぇお名前教えてくれる？」
「………」
「イヤかな？私はAって言うんだ。お名前教えてくれると嬉しいなぁ」
「…………ぞ、む」
瞬間、時が止まった。トントンさんと顔を見合わせる。
「えっと……ぞむくん、かな？」
「オトンの名前ちゃうで？お前の名前やで？」
「…………」
トントンさんの無意識の圧力が怖くてクローゼットの荷物の影にさらに身を寄せたぞむくん。
これはちょっとおかしなことになったかもしれない。
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あまぎ(プロフ) - 亞さん» 嬉しくてニヤニヤニチャニチャしてます！！！物書き冥利に尽きると申しますか、言われて嬉しい言葉を3つも織り込んでくださっていてめちゃくちゃ飛び跳ねてます今！やったー！ありがとうございます！これからも褒めて貰えるように文章頑張りますー！ (2021年4月6日 7時) (
レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
亞 - 設定がしっかりしていて、さらに場の雰囲気が想像出来る、、めっちゃ読みやすいです！続編楽しみにしてます！ (2021年4月5日 20時) (レス) id: a5aad03a9c (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - アルカさん» あのお風呂シーンは私も表現やアウトゾーンに悩みながらzﾑ視点で書きましたので、夢主のドキドキをお伝えできたなら満面の笑みでニッコリです！やったー！これからもきゅんきゅんして頂けるよう頑張りますね！コメントありがとうございました！ (2021年1月29日 17時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
アルカ(プロフ) - 読んでいるときゅんきゅんが止まらず、お風呂のシーン何か私まで顔を赤くして見ていました...。これからも更新頑張って下さい！ (2021年1月29日 14時) (レス) id: 710728be47 (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - こさゆさん» お褒めの言葉ありがとうございます！世界観は活かしきれてないところがまだあり、今後も好きだと言って頂けるよう精一杯広げて精進していきたいと思っています！嬉しいです…見てくださる方がいる事実で更新頑張れます…！これからもよろしくお願いしますー！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまぎ x他1人 | 作成日時：2020年7月4日 14時
