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遥か昔、私たちの先祖に2つの道が提示された。
1つ目は獣から人へ進化する過程で、獣の血を色濃く受け継ぐ獣人の道。
もう1つは私のような『人』、つまり進化する過程で獣の血を希薄させ、より"単純"になる道だ。
なぜ人の先祖は獣人の道を捨てたのか、人の先祖は間違った選択をしたのだと獣人たちがテレビで議論し合い談笑していたのを思い出す。
彼らはこの世界の支配者であり、ごく少数である私たち『人』は力も弱く、空も飛べず、走るのも遅い。
それでもここ十数年で細やかさや従順さを買われ、『人』の雇用を希望する獣人も増えているらしいが、大多数は希少な人の保護という名目で設けられた政府管轄の人専用街で生活している。不自由もなく、安全で、なにより獣人から向けられる蔑みと物珍しげな目に晒されることもないからだ。
魅惑のシッポが忙しなく、ときにゆらゆらと漂い通り過ぎていく。その尻尾の持ち主たちはもちろんペットでもなんでもなくこの軍に所属する兵士や従業員。『人』の上位種である獣人たちのものである。
横目でちらりと腕時計を確認し、鏡のように磨かれた窓ガラスに向かって軽く身だしなみを整える。時刻は朝の7:00。仕事の時間。ため息をついて幹部専用階の一室、通い慣れた扉の前に立った。控えめにコンコンと扉を叩いてみるがいつものように返事はない。もう一度叩いてから主の名前を呼んでみたがやはり中からは何も聞こえない。
「失礼します」
仕事に就いたばかりの頃は許可無しに入室するのは良くないと思い一生懸命外から呼び掛けていたが1ヵ月で無理だと悟った。
「おはようございますゾムさん、朝ですよ。起きてください」
薄暗くこざっぱりした部屋の中、ただっ広いベッドの上。丸まって気持ちよさげに寝ている男。まるで道案内するかのようにベッドまで続いている脱ぎ散らかされたベルト、シャツ、ズボン、靴下諸々を拾いながら声をかける。
「ゾムさん早く起きてご飯食べましょう」
そう言ってベッドからやや離れた位置に立つと、唸りながら寝がえりをうった男は大きな耳ピクピクと震わせ、うっすらと目を開けた。
「おはー…」
「おはようございます。昨日も遅かったですね」
「そー…夜行性やからええけど…朝は…アカン…」
怠そうにベッドの上を這う私の主人、ゾムさんの腕が伸びる。軽く一歩下がって避けようとすれば、それを見越したようにさらに距離を詰められ強い力でベッドに引き倒された。
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あまぎ(プロフ) - 亞さん» 嬉しくてニヤニヤニチャニチャしてます！！！物書き冥利に尽きると申しますか、言われて嬉しい言葉を3つも織り込んでくださっていてめちゃくちゃ飛び跳ねてます今！やったー！ありがとうございます！これからも褒めて貰えるように文章頑張りますー！ (2021年4月6日 7時) (
レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
亞 - 設定がしっかりしていて、さらに場の雰囲気が想像出来る、、めっちゃ読みやすいです！続編楽しみにしてます！ (2021年4月5日 20時) (レス) id: a5aad03a9c (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - アルカさん» あのお風呂シーンは私も表現やアウトゾーンに悩みながらzﾑ視点で書きましたので、夢主のドキドキをお伝えできたなら満面の笑みでニッコリです！やったー！これからもきゅんきゅんして頂けるよう頑張りますね！コメントありがとうございました！ (2021年1月29日 17時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
アルカ(プロフ) - 読んでいるときゅんきゅんが止まらず、お風呂のシーン何か私まで顔を赤くして見ていました...。これからも更新頑張って下さい！ (2021年1月29日 14時) (レス) id: 710728be47 (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - こさゆさん» お褒めの言葉ありがとうございます！世界観は活かしきれてないところがまだあり、今後も好きだと言って頂けるよう精一杯広げて精進していきたいと思っています！嬉しいです…見てくださる方がいる事実で更新頑張れます…！これからもよろしくお願いしますー！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまぎ x他1人 | 作成日時：2020年7月4日 14時
