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嫌だと肩に置いた手が掴まれ、よだれを舐めとったゾムさんが今度は指先に牙を押し当ててきた。
「俺、Aの手好き。柔っこくて尖ってへん。人って攻撃手段ないよな、丸腰って感じがそそるわ」
「そんな風に、思うのは…っあなただけです」
「そうかなー？」
犬歯が人差し指に窪みをつくる。きっともう少し力を入れられたら皮膚から血が潜んで服を汚してしまうだろう。
「ゾムさん本当に、そろそろ起きないと、」
「えーまだし足りひん」
そう言って指がかけられたのは、せっかくのアイロンがけが台無しになった私のシャツ。ボタンが引っ張られた瞬間ギョッとした。
過去に一度、それこそ働き始めたばかりの頃。ベッドに引き倒してきた彼をうまくいなすことができずシャツを引きちぎられたことがあった。恐怖ももちろんあったが息苦しそうに唸り、熱い、ごめんと訴えてくる姿が心配になり、深い知識を持っていない当時の私は戸惑いながらも逃げ出さないでいた。その結果、ゾムさんの気が済むまで噛まれ引っ掻かれ舐められては痛いやめて泣きわめく羽目になるのだけど、いくつもの歯形と鬱血ができて就職そうそう大騒ぎになった。あとで聞いた話ではその時ゾムさんはヒートだったらしい。生理現象とはいえ迷惑な生態だ。
あんな恐怖、もう二度と味わいたくない。
「まって、あなたまだヒートじゃないでしょ！」
獣人のヒートサイクルは決まっている。ヒートの時は極力ゾムさんから距離を取り、出来る限りの自衛を施すのだ。彼だって当事者なのだから私のトラウマも自衛も知っているはず。知っててやってくるのだからたまったものじゃない。ヒートの真似事はやめて欲しいと訴えるとニタリと笑われた。
「じゃあヒートならええねんな？わかったわ」
違う。そういう意味じゃない。
リップ音を残し、体の重みが無くなった。見れば主は私が持ってきた服に着替え始めている。変わり身が早いのもひねくれた性格にももう慣れた。ここで言い募って墓穴を掘ることもないだろうと乱れた服を整え肩から力を抜く。
ゾムさんの鼻歌が流れる中、私もベッドから降りて仕事に戻ることにした。
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あまぎ(プロフ) - 亞さん» 嬉しくてニヤニヤニチャニチャしてます！！！物書き冥利に尽きると申しますか、言われて嬉しい言葉を3つも織り込んでくださっていてめちゃくちゃ飛び跳ねてます今！やったー！ありがとうございます！これからも褒めて貰えるように文章頑張りますー！ (2021年4月6日 7時) (
レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
亞 - 設定がしっかりしていて、さらに場の雰囲気が想像出来る、、めっちゃ読みやすいです！続編楽しみにしてます！ (2021年4月5日 20時) (レス) id: a5aad03a9c (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - アルカさん» あのお風呂シーンは私も表現やアウトゾーンに悩みながらzﾑ視点で書きましたので、夢主のドキドキをお伝えできたなら満面の笑みでニッコリです！やったー！これからもきゅんきゅんして頂けるよう頑張りますね！コメントありがとうございました！ (2021年1月29日 17時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
アルカ(プロフ) - 読んでいるときゅんきゅんが止まらず、お風呂のシーン何か私まで顔を赤くして見ていました...。これからも更新頑張って下さい！ (2021年1月29日 14時) (レス) id: 710728be47 (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - こさゆさん» お褒めの言葉ありがとうございます！世界観は活かしきれてないところがまだあり、今後も好きだと言って頂けるよう精一杯広げて精進していきたいと思っています！嬉しいです…見てくださる方がいる事実で更新頑張れます…！これからもよろしくお願いしますー！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまぎ x他1人 | 作成日時：2020年7月4日 14時
