私が恋をしたのは……【3】 (ページ30)

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……嘘だったら、あんなに辛そうに涙は流さない。
全身で哀しいって叫ばないよ

嘘じゃないくせに、そう伝えようとした時
タイガがまたらしくない笑みを深くした。

タイガ「君があんまりにも心配してくれるから
嬉しくてさ、ついあんな情けない嘘を重ねたけど
俺は平気だから」

タイガ「オブジェクトとロードサイドの血を
引く王子としての役目を立派に果たしてくるよ」

タイガ「……だから、君もベルとしての任務を
全うするんだよ、俺は君に期待してるんだから」

完璧な笑顔と、完璧な言葉が私の心を
ズタズタにした。

まるでタイガの世界から無理やり締め出された
そんなような気持ちになって、哀しさが荒波のように
押し寄せる

……タイガに言いたいことはたくさんある。
どうして強がるのとか、嘘をつかないでよとか

私くらいには、本音を見せてよとか。
だけど______

タイガの本当の辛さにずっと気づけずにいた自分に
これ以上何が出来るのだろう

何を言う権利が……あるのだろう

これ以上、どうすればいいのかわからないよ……

タイガとは小さな言い争いをたくさんしたけど
最後には決まって笑い合っていたような気がする

……だけど、今は大きな壁を前にしているのに
話し合うことも心を通わせることも出来ずにいる。

……ずっと、そばにいたのに私はタイガの
何にもなれないの？

無力感にさいなまれ、目の奥が熱くなって
涙がこぼれそうになる。

泣いている顔を見られたくなくて、
これ以上何も出来ないのにこの場にいることも出来なくて

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私は逃げるように部屋を飛び出し____
タイガと向き合うことから逃げ出した。