第15話 ページ2
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無事に会食を終え一安心……
といきたいところだけど、起き抜けの私の頭は
あることで埋め尽くされていた。
目を覚まし半身を起こしながら
昨日のことを思い出す。
……あれは一体なんだったんだろ
____
タイガ「A、泣かないで。君が泣くと……
俺の心までどうしようもなく痛くなるんだ」
タイガ「君を泣かせることがあるんだとしたら
俺が全部、取っ払ってあげる」
タイガ「だから。……っ、泣かないでよ」
____
切実な眼差し、頬に触れた唇の熱さは
一晩経った今でも鮮明に蘇るほどだった。
タイガは優しいからただ慰めてくれただけ、
だよね……？
弱ってる人がいたらあんな風に誰にでも
優しさをあげちゃうのかな。それは少し____
……嫌、だな
そこまで考えて私は慌てて首を振って
甘ったるい感情を振り払う。
っ、私とタイガは"そう"じゃない。
だって_____
その瞬間、始まりの日にタイガと交わした約束を
鮮明に思い出す
____
タイガ「もし君が俺に恋をしたらどう責任を取るわけ？」
「私があなたに心を奪われたその時は、
あなたのものになってあげる。それこそ永遠に」
タイガ「ふーん。それなら俺が君に心を奪われた
その時は、俺も君のものになってあげる。
それこそ永遠に」
タイガ「ま、そんなことは起こり得ないけどね」
____
私とタイガは出逢った日に、
お互いのことを絶対に好きにならないと宣言しあった。
……それに
___契約条項第99条
選定期間終了後、"ベル"は国王との一切の関わりを
禁ずる。___
あの契約があるってことは
誰を王に選ぶか選ばないかを置いておいたとしても…
"ベル"と王族が恋をすることは
好ましいと思われていないってことだ…
どんなにタイガと私の距離が近くなろうとも
所詮、王族と庶民だという事実は変わらない
____って、なにをこんなに真剣に考えてるんだ
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作者名：きょうもち | 作成日時：2020年12月15日 18時
