らくだい魔女と幼なじみの約束 part7

ちょっと考え事 ページ21

「…ありがと、か…。」

　こっちのセリフなんだけど。

　大事な事に気付かせてくれたのも。

　大きな声を出して怒鳴ってくれたのも。

　君だった―――――。

　「…何だろーなぁ…バカなんだけどなフウカって。」

　バカに慰められてるとか、俺はどんだけ落ちこぼれなんだろ…。

　下に落としていた視線をフッと上げて空を見る。


　『あれ、一番星だよね。』


　こっそりフウカを追いかけたあの時。


　そうアイツに笑いかけていたあの笑顔。


　ホントに嬉しそうな―――


　そこでフッと笑う。


　「…何考えてんだって…。」


　もう、アイツの事なんて好きじゃない。

　アイツには…フウカには違う想い人がいる。

　アイツじゃない。

　フウカなんかじゃな―――


　『無理しなくていいんだよ。わたし待ってるから。』


　「…！」

　頭に流れ込んだ一言。

　さっきあの子に言われた、あの言葉。


　『わたし、好きだよ。』


　彼女はそう言ってくれた。

　嬉しかったなぁ。

　そんなところが好きで。



　



　『ずっと待ってる。』



　『ちゃんと忘れることができて、それでもってまだわたしを好きでいてくれるのなら―――』




　…ゆっくり、諦めよう。




　時間がかかってもいい。





　全部諦めて、何もかもリセットして、そして。








　『わたしのこと、好きになって下さい。』








　「ちゃんとあの子を好きになろー…。」









　―――

　一人の部屋で窓のフレームに肘を置いて頬杖をつく。

カ「カイ君？入るよ。」

　そう声がしてドアを開けて入ってきた彼女は柔らかく微笑んだ。

か「どうかした？」

カ「うん、あのねちょっとここの訳し方、分かんなくて…。」

か「珍しいね、カリンが分からないなんて。」

　そう言うと、うふふそーかしらと笑う。

カ「カイ君、頭いいんでしょ？噂で聞いたことあるもの。」

か「…カリンほど良くないと思うよ。」

カ「ふふっカイ君知ってた？そういう人ほど隠れた才能持ってるのよぉ。」

　そう言うと「ハイ、紅茶」と、どっかの誰かさんとは全然比べ物にならないほどの気が利く対応。

カ「それもそうだけど、カイ君もどうかしたの？何かカイ君、表情が明るいよ。いつもよりずっと。」

　不思議そうに聞く彼女においらは笑いかけた。

か「何でもないよ。」

　カリンからそっと目線を窓の外―――彼女が去っていったほうを見つめる。









　「―――…ちょっと考え事。」

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