らくだい魔女と幼なじみの約束 part7

大丈夫じゃなきゃいけない ページ5

チトセside

　…それと同じようにアリスたちも。

　アリスたちの住むここ『白の国』は今は穏やかだが…昔は戦場に使われていた。

　妖精たちは逃げ場もなく、巻き込まれる方がほとんどだったみたい。

　だから白の国の者は、魔界が青の国を憎むように…魔界を憎んでいる。

　魔界とつながりの深い黒の国も。

ア「その…だからね。その手紙に書いてあったと思うんだけど…黒の城の王子のキースって人と一緒にパーティに行くんでしょ？フウカ。」

チ「みたいだな。」

　自分の腕を抱えて目を伏せて、しゃがんだまま気まずそうに小さく呟く。

ア「…あんまり関わってほしくないのが本音だよ。フウカとチトセ君は私の大事な友達だもん。」

　言いながらフウカに目線を戻して、薄く微笑んだ。

ア「……でもフウカはきっと何言っても聞かないだろうなぁ。そのパーティに行かないでって言っても『キースは大事な友達だよ、そんな悪い人じゃない』とか言ってさぁ…。」

　アリスの言う通りだろう。

　それに腹立つことに何が何でもアイツと行くことは忘れないからな。

　…だからこそ、俺は近くにいてやらないといけない。

　どんな危険からも守ってやれるような奴にならないといけない。

　今回はそのテストみたいなものだ。

　これだけはじいさんに感謝している。

チ「…大丈夫だよ。」

ア「？」

　アリスにそう言えば顔を上げて俺を見た。

　大丈夫だ。大丈夫じゃなきゃいけない。

チ「フウカは俺が守るから。」

　何があっても覚悟はできている。

　アリスの微笑みは深くなって、満面の笑顔になった。

ア「…頼もしいね、チトセ君みたいな人いたら。フウカも安心だろうな。」

　すると

フ「……ふふ。」

　笑う声が聞こえてアリスと二人でフウカを凝視する。

　目を瞑ったまま、どうやら笑ってるらしい。

　…夢見てんのかよ。

ア「…何笑ってんのよも〜。」

チ「どーせ食い物系の夢でも見てんだろ。呑気で羨ましいわ。」

　人の気持ちを知りもしないで〜と笑うアリス。

　ホントそれだよアリス。




　…人の気持ちを知りもしないで、何してんだか。

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