検索窓
今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:242,476 hit

93 ページ43

「…わ、わかんないよ。」

緊張しすぎて、声も震えてしまう。

今の私は、としくんの顔を見ることもできないし、ずっと俯いたまま、

としくんの手をぎゅっと握ってるだけ。

「じゃあ、俺が決めていい?」

って、としくんは私の顔を覗き込む。

「…ビジネスホテルにしようか?」

「何で?」

「だってA、今日はもういっぱいいっぱいなんじゃない?
そんな時にラブホなんかに連れて行ったら、Aのキャパがオーバーしちゃいそうだから、ラブホはまた今度。」

そう言って、としくんは私の手を引いて、夜の街を駅の方面に向かって歩いて行く。








途中の信号待ちで、スマホで何か操作してから、

「予約完了。」

って、私に笑いかけてくるその笑顔とか。

なんかもう、ドキドキして止まんないんだって。

目も合わせられなくて、私はさっきからずっと、顔を伏せたまま。

としくんはそんな私の様子に気付いていながら、放置してくれてる感じ。







ホテルに着いても、私は俯いたままで、

としくんに手を引かれながら、どこかに連行されてる感じ。

着いた部屋はありえないくらい狭くて、思わず後ろのとしくんを振り返ってみたくらい。

「狭くない?」

「うん、思ってたより狭いね。」

なんて言いながら、としくんはニコニコしてる。

ぼんやりとしてる私のコートを脱がせて、ハンガーにかけてくれた。

2人でベッドの脇に腰かけて、としくんは隣から私の顔を覗き込んでくる。

「緊張してる?」

「…してる。」

「なんで?ディズニーでも、ホテル泊まったじゃん。」

わかってるよ。

あの時は夢の国に来たって感じで、あまり気にならなかったけど。

こんないつも来る街の駅前の、しかもこんな狭いホテルの部屋っていうのが、何故か緊張するんだって。

変にリアルで、私の今まで知らなかった世界だから。









「テレビでも見る?」

としくんにそう聞かれても、私は黙って首を横に振るだけ。

「じゃあ、お風呂とか入る?」

「…やだ。」

って、相当我儘だよね、私。

自分でもわかってるよ。

「じゃあ、する?」

そう言われて耳元に唇を寄せられて、

不意打ちだったから、思わず目を閉じてしまう。

「それって、OKってこと?」

そう聞かれて、首をぶんぶん振ったら、としくんは苦笑い。

「もー、何がしたいの?Aは。」

って、苦笑いしながら、私を抱き寄せてくれるから。

としくんの体温を感じて、少しだけ、気持ちが楽になった。

94→←92



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (256 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
645人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

宮田くん?(プロフ) - わかめさん» こんばんわ!まさか返信をいただけると思っていなかったのでとても嬉しいです( ; ; )!更新楽しみに待っています\(^o^)/ (2017年6月13日 23時) (レス) id: a5a408bf95 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - kanna1015tさん» はじめまして、コメントありがとうございますm(_ _)m長々とお待たせして申し訳ないです。もう4話くらい出来上がってるんですが、なかなか更新するに至らず(/ω\*)でも近々更新しますので、その時は読んでくださるとうれしいです(/ω\*) (2017年6月13日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna1015t(プロフ) - 初めまして!宮田担です!この作品とっても大好きでずっと前から見させてもらってました!>_<続きが早く見たいです。、 (2017年6月12日 0時) (レス) id: a5a408bf95 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 俊哉の専属メイドさん» おはよーん♪ドキドキときめいてくれて、ありがたいですわー(*´ ˘ `*)ウフフこれからも頑張ります!! (2016年11月5日 10時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
俊哉の専属メイド(プロフ) - わかめちゃん!!更新お疲れ様!久しぶりにドキドキときめいたよ!これからも応援してまーす!! (2016年11月5日 2時) (レス) id: 8f1a1eba1d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2016年2月19日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。