100% PURE HONEY chapter2

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「A、ついてる。」

って、初詣の時みたいに、唇についたケチャップをペロッと舐めとってくれるから、

その行為だけで、腰が砕けそうになってしまう。

「今日は俺もついてない？」

なんて、冗談めかして言ってくるけど。

もう、さっきからキュンキュンが止まんないんだって。

としくんの目も見れないし、普段ならそこで私からキスとかしてるところなんだけど。

恥ずかしくて、何もできないんだって。

どうしよ。

王道のデートって、本気でヤバイ。







正直、映画の内容なんて、全然頭に入んないし。

ホットドッグを食べ終えたら、膝の上にとしくんがポップコーンを置いてくれてるから、

その肩にもたれながら、ずっと２人でポップコーンを食べてる。

なんだか私達のいる空間だけ、違う空気が流れてる。

映画の大きな音が館内に響いているのに、私達の周りだけ静かで、なんだか異空間にいる感じ。

としくんはキャラメルポップコーンを一粒摘まむと、私の口の中に運んでくれる。

「…おいしい？」

って小声で囁いて、私が頷いたら、満足そうに微笑んでくれる。

私も食べさせてあげようと思って、一粒、としくんの口の中に運んであげようとしたら、

その手首を柔らかく掴まれて、ゆっくりと、としくんの唇が重なってきた。

…もう、やばいんだって。

まるで初めてのキスみたいなんだよ。

もう、ドキドキが止まらなくて、困る。








あんまりキスが激しくなるから、とうとう膝の上から、ポップコーンの容器が床の上に零れ落ちてしまう。

驚いてキスを中断したら、床に広がった無数のポップコーンが余計に非現実な雰囲気で。

なんだか悪いことをしてるみたいな気分になって、今度は私の方から唇を重ねた。

首に両手を回して、強引に引き寄せて。

としくんも、そんな私の行動にすぐに応えるみたいに、背中に腕を回してくれるから。

やばいよ…。

止まんないんだって。

きっと他の観客は、スクリーンしか見てなくて、私達のしてることなんて見えてないんだろうけど。

こういうのって、道徳に反してる行為って言われちゃうのかな。

私達は今、ただキスしてるだけなんだけど。

でも、これ以上盛り上がっちゃったら、これだけじゃ済まなくなっちゃいそうだよ。

なのに、としくんは唇を離して、こんなことを言う。

「…A、映画楽しい？」

って。

優しく微笑みながら。

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