100% PURE HONEY chapter2

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「そういうのは、いつでも見れるじゃん。
そうじゃなくて、普通のカップルが見るような映画にしよ？」

そう言ってとしくんが選んだのは、今話題の洋画だった。

きっと私達が絶対見ないジャンルの。

不安げにとしくんを見上げたら、優しく笑い返してくれるだけ。

ほんとに大丈夫かな…。






ポップコーンやホットドッグを買って席に着こうとしたら、私達の席が２人掛けソファーみたいな席になってるし！

「何？この席。」

１人ずつの席がずらーっと並んでる、後列２列がベンチシートになってた。

私達の席は一番後ろで、しかもど真ん中。

「カップルシートなんだって。
俺も初めてなんだよねー、こういうの。」

初めての割には、としくんはなんだかリラックスしてるし。

落ち付かない私は、席に着いて思わずキョロキョロしてしまう。

話題作だから、お客さんはいっぱいだと思ってたのに。

平日の夜だからか、１人で来てるお客さんが前の方に数人いるだけ。

特にカップルシートには、私達しかお客さんがいないし。

「なんか、１人占めしてるみたいじゃない？」

そう、としくんに小声で耳打ちされるから。

逆に緊張してしまう。

だって、慣れないんだもん、こんな場所。







すぐに館内は暗くなって、予告編が始まる。

「A、もうちょっとこっち来れば？」

って、としくんは言ってくれるけど。

私は中途半端に緊張してて、その言葉にもうまく従えない。

突然、腰に回ってきたとしくんの腕が、グイッとそのまま引き寄せてくるから。

バランスを崩して、としくんの肩にもたれかかってしまう。

「…もたれてていいよ。」

そう言ってもらっても、なかなか緊張が取れない。

いつも家では、こんな感じでテレビとか見てるのに。

何で外だと、こんなにドキドキするんだろ。








家で普通にくっつくいてるくせに、こういう公共の場でくっつくのがどうしても慣れないっていうか。

…なんか、悪いことしてるような気分になってくる。

そのくせ、嫌じゃないし。

やたらとドキドキするし。

あー、やばいなー。

普通のカップルはこうやって、デートとかしてるんだ。

「なんか食べる？」

って、としくんがホットドッグを渡してくれたから。

そのまま、少しだけ体を離して食べ始める。

でも視線を感じてそっちを向いたら、なんだか嬉しそうにとしくんが私を見てるから、それもなんか、

ドキドキした。

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