100% PURE HONEY chapter2

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優しくすることで人を傷つけるって、どういう意味？

「彼女にとって、俺は何でも言うことを聞いてくれる優しい人、だったんだよね。
でも、優しくできない時だってあるじゃん。
無理なことを言われたり、我儘もきいてやれない時も。」

「…うん。」

「彼女は、そんな俺のこと、許してくれなかった。
『偽善者！』って、物を投げつけられたこともあるよ。
人に優しくし過ぎると、その人を壊してしまうこともあるってこと。」

…難しすぎて、よくわからないよ。

「…わかんないよね？
難しすぎて。」

そう言って、またとしくんは私の頭をぐりぐりと撫でる。





「例えば、俺がAに優しくし過ぎて、Aの言うことなんでもきいて、
だけど、一番叶えてほしいお願いだけはきいてくれなかったらどうする？」

「…どういう意味？」

「Aと付き合う前。
俺、Aに優しかった？」

「うん、すごく優しかったよ。」

「でも、あの頃のAは俺に満足してた？
告白してほしいのに、俺、Aに全然告白しなかったし。」

「うん。それがずっと不満だった。」

「そういうことだよ。
俺の酷いとこ。」






「でもそれは、Aと付き合いたくなかったからじゃなくて、Aに嫌われたくなかったから。
また、前の彼女の時のようになってしまうのが、怖かったんだよね。」

そう言ってから、また私の頭を撫でる。

「ごめんね？臆病で。」

なんとなく、わかってきた。

としくんの気持ち。

「前の恋愛がトラウマになってて、私に告白してくれなかったってこと？」

「…そう。
また、前の時と同じように、Aを苦しめたり追い詰めたりしたらどうしよう、って思ってた。」






ようやく、としくんは今までの話をぽつぽつと話してくれた。

「最初は、普通の恋人同士だったよ？
彼女は入院してたから、毎日お見舞いに行ってたし。
退院して、同じクラスになっても、うまくいってた。
だけど、関係がおかしくなったのは、彼女がまた入院した頃からかな。」

「どうなったの？」

「うーん…。
俺のことを束縛するようになった。
最終的には俺が学校に行くのも嫌がったし。」

「そんなに？」

「玉からもいろいろ聞いたんじゃない？」

「…うん。」

「最後には、学校の屋上に立て籠もって、大騒ぎになって。
彼女の両親が県外の病院に転院させたんだけど。」

「うん、それで自然消滅になったんでしょ？」

「…まあ、そうなんだけど。
少し、違うんだよね。」

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