100% PURE HONEY chapter2

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「いろいろって何？」

「…話してもいいけどさ。
それって、これからの俺らに必要？
Aはそれ聞いて傷つかない？」

いつも優しいとしくんが、少し怖い顔でそう言うから、

なんだか急に、としくんが遠い人みたいに思えてくる。

それでも、このまま聞かないでいるなんて私にはできないから、

「…それでも、聞きたいよ。」

そう言って、ちゃんと、としくんとを視線を合わせた。




「…たいした話じゃないし、Aは知らなくてもいいって思ってた。」

さっきまで友達と楽しそうに笑ってたとしくんとは、別人みたいな顔をして、目を伏せる。

「言いたくない？」

「…できればね。
ちょっと、思い出したくない話だし。」

でも、聞きたいよ。

気になるよ。

としくんの過去に何があったのか。

でも、言いたくないことを無理に言わせちゃうのっていうのも、どうなんだろ。





私が次の言葉に悩んでいるうちに、としくんはもう話し始めてしまった。

「彼女ね、病弱だったんだ。
ほんとは俺より一つ年上なんだよね。
１年、病気で高校を留年して俺らと一緒に卒業したんだ。」

としくんは淡々と話してくれるけど、たまに隣に私の表情を確認しては、また話を続ける感じ。

「俺らが付き合ってたのは、病気で休学してた頃で。
お見舞いとか友達と行ったりしてるうちに、お互い好きになって、で、付き合うことになった。」





「でも、彼女はありえないほど、重かった。」

「…重いって？」

「彼女の全てが俺になっちゃったっていうか…。
彼女も病気だったからね、仕方ないとは思うんだけど。
束縛もすごかったし、嫉妬も半端なかった。」

「どれくらい？」

「…あんま、この話はしたくないかも。
思い出したくないっていうのもあるけど。
ごめん。」

それきり、としくんは黙ってしまうから。

もう、これ以上は追及できなくなった。





「でも、なんでもないから。」

「自然消滅ではあるけど、俺はもう彼女に全然気持ちは残ってないし。」

「Aが心配するようなことは何もないよ。」

としくんは、ずっとそんな言葉を私に投げかけてくれるけど。

私には正直、入って来なかった。

話したくないこととか、

思い出したくないことって、

結婚を考えてる彼女にでも、言いたくない？

としくんのお母さんでも知ってることなのに。

私には言えないんだ。

そう思ったら、なんだか寂しくなって、不安になって、

その夜は眠れなかった。

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