765 ページ15
今夜はなんだか変だった。
すごく気持ちが昂って、切なさでどうにかなっちゃいそうな感じに。
満足して眠りに就きかけた私に、裕太くんはこんなことを告げる。
「さっきの、避妊してないけど。」
一気に眠気が引いていく。
「てか、こっちにきてから一度も避妊してないの、気付いてた?」
まあ、気付いてたけど。
私も気が緩んでた。
結婚も決まってるんだから、いいのかなって。
そんなことを思いながらも脳内では冷静に、前回の生理がいつだったかを思い出そうとするけど、全然思い出せなくて。
枕元に置いてたスマホを開く。
確かカレンダーのアプリに、生理日のチェックを入れてたはず。
…大丈夫。
きっと今週中に生理が来る予定だから、きっと妊娠はしてないはず。
「今、妊娠しちゃったら困る。
卒業式の袴も着れなくなっちゃうかもだし、もしかしたらシンガポールについて行けなくなるかも。」
それは軽く脅しておく。
私と裕太くんの子どもか…。
なんか、すごいところまで来ちゃったな。
いつだったか、裕太くんが勘違いして妊娠検査薬を渡してきたことがあったっけ。
あの頃から比べると、私達はだいぶ大人になった。
シンガポールから帰ってきた私達は、にわかに忙しくなった。
大学生最後の秋学期が始まり、私達の卒論準備も本格的に始まったから。
卒論提出日は12月20日。
2人とももう、春学期にある程度の準備は進めていたものの、私は執筆、裕太くんは設計や模型の作成で、一緒にいられる時間も極端に減り始めていた。
同じように大学に出かけていても、私は図書館にいたり、裕太くんは設計室にいたりで。
帰る時間もまちまちで、思えばもう何日も2人で一緒にごはんなんて食べてないな。
そんなことを思いながら、私は今夜も遅くまで図書館に籠もり、夕食はコンビニで買ってきた何かを深夜のマンションの部屋で1人で食べている毎日。
だけど不安や焦りがないのはきっと、数か月後には結婚してシンガポールに行くことが決まってるからなんだろうな。
深夜に帰ってきたり来なかったりだけど、たまに朝が一緒になる時の登校時の数十分だけが2人の時間。
お互いマシンガンみたいに近況を話して、図書館の前でバイバイして。
寂しくはあるけど、どうやら私は平気みたいだ。
だって私達は、この先飽きるほど一緒に過ごすことになるんだから。
1360人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クッキーベル(プロフ) - 昨年のクリスマスからこの作品を今日までで一気読みさせていただきました!!すごく面白くて続きが気になります!!!更新大変だとは思いますが、これからも頑張ってください!!応援してます!! (2021年1月2日 19時) (レス) id: 456e770b4f (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 楽しみに更新待っていますね。^_^ (2020年7月28日 0時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
bakutan(プロフ) - こんばんは!この物語とても好きです!ゆっくりでも良いので更新再開してください!!楽しみに待ってます! (2020年6月3日 19時) (レス) id: dde750c273 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» こちらも大変お返事が遅くなりまして!こちらも読んでくださってるとは、ありがとうございます。こちらは更にのんびり更新でやってますが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - こんばんは!こちらも楽しみに読んでいます。めちゃくちゃ素の玉ちゃんが出てる感じでリアル感もあり楽しみです!ゆっくりご都合良い時に更新してくださいね^_^楽しみに待ってます。 (2020年1月25日 22時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月6日 21時