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土曜日の午前中、俺達はAの実家のある駅に着いた。

隣を歩いてるAは何故か、余裕げに笑みなんか浮かべてる。

「絶対、反対されるに決まってるんだから。
健永くんもそんなに緊張しなくていいよ。」

なんか言ってくるし。

まあね…、自分でもある程度は覚悟してるよ。

前科もあるし、許してもらえないだろうなってことは。

娘を傷つけた男が数年後にまた現れて、今度は娘と一緒に住んでるわけだから。

俺がAのお父さんだったら、許せなくて当然だと思う。

「だから、もう駆け落ちの準備も済ませちゃってるしね。」

そう言えばキャリーバッグに荷物を詰めてたっけ。

それも、真顔で。









Aの実家に着いたら、お父さんはもう既に激昴してる感じで、

なんだかいろいろ…、フラッシュバックしてしまう。

高校生だった、あの時の風景が。

それはAも同じで、固く握りしめた手を膝の上に置いたまま、固まってしまってる。

「どういうつもりでうちの娘と同棲してるのか。」

そう聞かれて、

「結婚するつもりで一緒に住んでます。」

正直にそう答えた。

だけど、そんな簡単に認めてもらえるはずもなく。

とにかく俺達の付き合いは断固反対っていうお父さんと、真剣に付き合ってるんだからいいんじゃないの?っていうお母さんとの間で、とうとう夫婦喧嘩まで始まってしまう始末。









突然、席を立ったAは、

「もういいよ!
反対するなら、私はこの家と縁を切るから!」

そのままご両親に勢いよく啖呵を切った。

…あーあ、言っちゃった。

意外にこの時の俺は冷静で。

さすがに縁を切るとか娘が言い出したら、お父さんも少しは考えてくれるんじゃないかとか、甘いことを考えてた。

だけど実際は…、

「出てけ!」

って、Aと同じテンションで立ち上がったお父さんに言い放たれて、終了。

「出てくし!」

売り言葉に買い言葉で、Aはそのまま鞄と俺の手を掴んで、家から飛び出してしまった。

ヤバイじゃん、これ。

マジでAが言ってた駆け落ちコースまっしぐらって感じ?

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ゆいゆい(プロフ) - 俊くんのに続きコメント失礼します。実は私、宮千好きなので、このお話もとても大好きです!!健永くんと主人公ちゃんの今後も気になりますが、二人の過去の事も、もっと見てみたいなぁと思いました!生意気言ってすいません。わかめさんの作品大好きです! (2017年9月7日 1時) (レス) id: 1462413259 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年5月22日 2時

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