検索窓
今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:142,125 hit

71 ページ21

大学が始まるまでの残りの一週間を、ずっとAとこうしてベッドの上で過ごすわけ?

まあ、それも悪くないんだけど。

「ニカ達の世話にも行かないといけないから。」

「しばらく来なくていいって言われたんでしょ?」

まあ…、その通りなんだけど。

更に追い打ちをかけるように、

「今年の夏は一度きりだよ?」

なんて甘い声で、俺の耳元で囁いてくる。







「もー…。
わかったよ。
じゃあ、バイト先に休めるかどうか連絡してみる。」

でも不器用な俺はうまい嘘が思いつかないのに。

「そんなの、病気になったことにすればいいじゃん。」

なんて、Aはサラッといとも簡単に提案してくる。

それでもまだ悩んでる俺の手からスマホを奪い取ったAは、

「千賀健永の母ですけど。
いつもお世話になってますー。」

なんていきなり大人びた声を出して、原因不明の熱が続いてるため、しばらく休むという約束を取り付けてしまった。

「バイト先の人、すごく心配してくれてたよ。」

なんて言いながら、笑顔でスマホを返される。

「なんか…、すげー罪悪感感じるんだけど。」

元々、そんな器用な嘘がつけない俺は、罪悪感で申し訳なくなっちゃって、

枕にぱふっと顔を埋めてしまう。

なのにAはそんな俺の背中に乗って来ちゃうし。







「大丈夫だよ、健永くん。
そんな罪悪感なんか全部私が吹き飛ばしてあげる。」

Aはそんなことを言いながら、俺の耳元に息を吹きかけてくるから、

くすぐったくて身をよじろうとしたのに、Aは振り落とされないようにしっかりしがみついてくる。

「だって、きっと楽しいよ。
一週間、私とベッドの上で過ごしたら。」

「何?その根拠のない自信。」

「だって私はもう、既に楽しいもん。
ここ何日か健永くんとベッドの上で過ごしてて、すっごい幸せ。」

本当に幸せそうな声でそんなこと言われちゃうと、なんだか本当にそんな気分になってくる。

確かにここ数日間、すげー楽しいから。

「もう、わかったよ。
Aの言うとおりにする。」

観念して瞼を閉じると、Aは満足げに俺の耳に唇を寄せてくる。

ちゅっ、って音を立ててキスしてくるけど、その行為自体がくすぐったくてまた身をよじったら、

Aは耳元でまた囁いてくる。

「いいよ、しても。」

だって。

「今日は健永くんの好きなようにしていいよ。」

って、そんなこと言われて、断る男なんていると思う?

72→←70



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (197 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
770人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

ゆいゆい(プロフ) - 俊くんのに続きコメント失礼します。実は私、宮千好きなので、このお話もとても大好きです!!健永くんと主人公ちゃんの今後も気になりますが、二人の過去の事も、もっと見てみたいなぁと思いました!生意気言ってすいません。わかめさんの作品大好きです! (2017年9月7日 1時) (レス) id: 1462413259 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2016年5月22日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。