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Aの好きなところを何個も並べて、いっぱいキスしてたら、

Aは満足して、また眠そうに俺の肩にことんと頭を預けてくる。

「もう眠い。」

「さっきまで寝てたのに?」

「寝たばっかだったもん。」

「じゃあ、寝てていいよ。
その間にAの好きなもの作っとく。」

「カルボナーラ?」

「そう。
冷蔵庫に生クリームあったっけ?」

冷蔵庫の中身を確認しようと起き上がろうとしたら、俺のシャツの裾をまた、Aの右手が掴む。







「別にお腹すいてないからいい。」

「だってA、俺がいないとちゃんと三食食わないじゃん。
今日、朝ごはんは一緒に食べたけど、お昼は?」

「…食べてない。」

ほら、やっぱり。

いつも俺が見張ってないと、Aはめんどくさがって平気で1食抜かしちゃったりするから。

「なんか作るわ。」

Aの手を解こうとするのに、あんまり固く握られてるから解けないし。

「いらないって。
それより、もっとここにいて、かまってほしい。」

「かまうって、どうやって?」

「わかんない。
でも、もっとかまって。」

って、眠そうな声でお願いされるから、もう、

根負けした。







「いいよ。
Aがお腹空いて我慢できなくなるまで、一緒にゴロゴロしてよっか。」

そのまま、ベッドの中に逆戻り。

Aを腕の中に招き入れたら、俺はもう、泣きたくなってしまうほど幸せを感じてしまうのに。

俺達は一度、引き離された関係だから。

もう会えないと思ってたから。

それがこうして、また再会することができて、こうやって腕の中にAがいるんだって思っただけで、

もう二度と離れないようにしようって思うのに。

たまにそんな気持ちをうっかり忘れて、Aをほったらかしにしちゃったりする。

「A、これからも毎日一緒にいよう。」

そんな俺の言葉にも、

「いつも一緒にいるじゃん。」

なんて、眠そうな声でそっけないことを言ってくる。








「明日、どっか行く?
せっかく夏休みなのに。」

「外、暑いし。」

って、やっぱりAはそっけない。

「それより私は、こうやって冷房の効いた部屋で、
健永くんとお布団にもぐってるのが、一番幸せ。」

「今年の夏の思い出、作らなくていいの?」

「いいの。
真夏の暑い日に健永くんとこうしてるのが、今年の私の夏の思い出だから。」

そう言ってベッドの中、満足げに俺の首筋に顔を埋めた。

あーあ、今年の俺らの夏はあと少しで終わろうとしてるのに。

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ゆいゆい(プロフ) - 俊くんのに続きコメント失礼します。実は私、宮千好きなので、このお話もとても大好きです!!健永くんと主人公ちゃんの今後も気になりますが、二人の過去の事も、もっと見てみたいなぁと思いました!生意気言ってすいません。わかめさんの作品大好きです! (2017年9月7日 1時) (レス) id: 1462413259 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年5月22日 2時

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