GOLD -YELLOW-

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その日の夜から、玉森くんのリハビリが始まる。

お風呂で入念にマッサージしてから、お風呂上がりのストレッチ。

部屋の真ん中で、座って前屈してる玉森くんの、

その背中に抱きつくようにして、負荷をかけてあげる。

「…ちょ！マジ痛いって！」

って、玉森くんが痛がっても、少しずつ少しずつ負荷をかけて行く。

「わかった！もう何でも言うこと聞くから、許して。」

玉森くんの泣きが入った所で、体を離してあげる。

今までの仕返しだよ。

さんざん意地悪されたからね。





「玉森くんは、完治したらどうするの？」

「どうするって…。
予告してあんじゃん、即Aを抱くって。」

「違うよ、そういうことじゃなくて。
ここ、出て行くの？ってこと。」

そう聞いたら、急に真面目な顔になって私の隣に座り直してきた。

「何？寂しいの？」

って、からかうように私の顔を覗き込んでくる。

「…寂しいよ。」

小さな声でそう言ったら、頭ごと抱えるみたいにして、ぎゅーって抱きしめてくる。






「今日は素直じゃん。」

「いつも素直だよ。」

「嘘つけよ、いつもツンツンしてんじゃん、お前。」

「してないよ。
玉森くんの方がツンツンしてるし。」

「まあ、どっちでもいいや。
要するにAは俺に出て行ってもらいたくないわけね？
違う？」

違うよ。

…嘘、違わないけど。

腰に回された玉森くんの腕がほんのり暖かくて、

玉森くんの肩にほっぺたを押し当てたら、なんだかすごく安心できて。

離れたくなくなった。

ずっと、こうしてくれてたらいいのに。






「いてやってもいいよ？この部屋。」

玉森くんはそんなことを言うけど、

その言い方が気に入らなかった。

だから、

「いい。いてもらわなくても。」

って、つい可愛くないことを言ってしまう。

「どっちにしろ、完治したらこの部屋出て、新しい部屋探すつもりだったけど。」

「引っ越すの？」

思わず顔を上げたら、

「引っ越すよ？Aと。
もっと広い部屋に。」

って、優しく笑いかける玉森くんと目が合った。

玉森くんって、こんな優しい目とかするんだ。

初めて見たかも。






「そろそろ寝る？」

「もう？ストレッチまだ始めたとこだよ？」

「つか、夜のストレッチ付き合ってよ。」

「何それ？」

「ベッドの中でやるやつ。
体動かすのが一番いいんだって。」

そう言って立ち上がった玉森くんは、さっきの優しい目とは全然違う、意地悪な目をして私を見下ろしてた。

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