38 ページ38
「彼氏にしてって言ったし、ちゃんと。」
「告白っていうのは、ちゃんと好きって伝えることだよ。
玉森くんのは告白じゃない。」
「彼氏になりたいってことは、好きってことじゃん。」
「じゃあ、玉森くんは私のこと好きなの？」
そう聞いたら、急にそっぽを向くし、
その顔を覗き込もうとしたら、
「…見んなって。」
って、余計に顔を背けられる。
玉森くん、耳まで真っ赤だよ？
だから、その耳にそっと触れてみた。
なんか熱い。
「…触んなって。」
って、反抗期の男子みたいに逃げられるから、面白くなって、もっと耳を触ろうと手を伸ばしたら、
そのままソファーの上、手首を掴まれて組み敷かれてしまった。
目の前には、キレ気味の玉森くんがいて。
まるで、朝と同じ姿勢。
「何？A、俺から好きって言わせたいわけ？」
「…言ってくれなくていい！」
そう言い返したら、玉森くんの顔がどんどん近づいてくるから、怖くなって顔を背けたけど、
間に合わなくて、そのままキスされてしまった。
初めて知った玉森くんの唇の感触は、柔らかくて甘くて。
ようやく手首が離されて、唇が首筋に移動してきたから、
玉森くんの頭をどかそうとしているうちに、つい…。
ガリッとやってしまった。
思いっきり玉森くんのほっぺたに引っかき傷がついちゃって。
玉森くんはようやく私から離れてくれたけど、そこから先は変な雰囲気になっちゃって、お互い口もきかないまま。
その日の夜は別々に寝たし、翌朝もお互い一言も口をきかない。
いつもはタクシーで行くのに、松葉杖のまま、電車に乗っちゃうし。
いったいどうしたの？
私がお金がないって言っちゃったから？
会社に着いたらすぐに、栞ちゃんが玉森くんに駆け寄って、
「玉森先輩、その傷どうしたんですか？」
って話してるのが聞こえた。
私は聞いてないふりして、自分の席につく。
「…猫に引っかかれた。」
「えー？玉森先輩、猫飼ってたんですか？」
「飼ってない。
躾のできてない野良猫。
ちょっと可愛いから撫でてやろうとしたら、いきなりガリッとやられた。」
って、何！？その言い方！
私を野良猫扱いする！？
「だから、家に連れて帰って躾し直そうと思って。」
「拾っちゃったんですか？引っかかれたのに？」
「二度と引っかかないように、みっちり躾してやるから。」
そう言って、私の方をチラリと見てくる。
…こ、怖いんですけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1950人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わかめ(プロフ) - 夕空さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありませんm(__)mキュンキュンしていただいてありがとうございます(*^-^*)これからも頑張りますので、また読んでやってくださいませ(*^-^*) (2017年1月29日 22時) (
レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
夕空(プロフ) - ２話とも、凄く面白くてキュンキュンしてますヽ(*´∀｀)ノこれからも頑張ってください！！ (2017年1月19日 16時) (レス) id: a68f5393cb (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます♪ちょっとドSな玉森さんなんで、怒られるかもー、なんて、ドキドキしながら書きました(^^)これからも頑張ります(´∇｀) (2016年7月31日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - とってもドキドキしました〜！(^∀^)今までにないようなお話で、とても気に入りました(#・ー・#♪)これからも、頑張ってくださいね！ (2016年7月28日 13時) (レス) id: 0c0813c9ee (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - さやさん» ありがとうございますー(/ω＼)ドSが受け入れてもらえるのかどうか、ドキドキしながら書いてました(/ω＼)続編も書いてみたいなーと思い中です♪読んでくれてありがとうございました(*^-^*) (2016年6月17日 8時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2016年5月4日 2時
