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「どうしてくれんの?足。」

冷静なトーンで、頭を下げっぱなしの私に、そんな言葉を投げかけてくる。

「一週間、入院だって。
その間、どうしたらいいわけ?俺。」

ようやく頭を上げて玉森くんと目を合わせたけど、ほんとに怖いんだって。

明らかに怒ってるじゃん。

そりゃ、怒るよね。

いきなりの巻き添え事故で骨折して、当の加害者はピンピンして退院するわけだから。





「知ってた?
俺、Aの下敷きになったんだって、階段から落ちた時。」

意地悪い顔でそう言われて、申し訳なさで涙が出そう。

「…本当にごめんね。」

「入院中の世話とか、どうしてくれんの?」

「玉森くんは、彼女とかいないの?」

そう聞いたら、明らかに更に不機嫌な顔で、

「…は?」

って、聞き返された。

「あ、私がする、…します!」

「…ふーん。何でも言うこと聞いてくれるの?」

「うん、聞く。」

「じゃあ、これ買ってきて。」

そう言って渡されたメモには、大量の買い物リストが!

下着に着替えに、雑誌に食べ物飲み物。

衣類はブランド指定だし、雑誌も大量だし。

でもこうなったのは、私のせいだから、

「行ってくるね。」

って、病室を飛び出した。









大量の荷物を持って、病室に帰って来たのは2時間後。

病室に入ったら玉森くんは気持ちよさそうに眠ってたから、そーっと荷物を置いて立ち去ろうとしたのに。

「…おい!」

って、呼び止められて、またあれこれ用事を言いつけられて、解放されたのは面会時間の終わる8時前。

「じゃあね。」

そう言って手を振ったら、

「待って。」

って呼び止められた。





「腕、見せて?」

長袖の袖口を急にめくられて、

「うわ!すごいことなってんじゃん。」

って、顔をしかめられる。

さすがに階段から落ちたからね。

腕も足も青タンだらけなんだ。

腕は特にひどくて、二の腕から手首にかけて、大きな痣ができちゃってるし。

見られたくないから、すぐに腕を引っ込めた。






「さっき袖口からチラッと見えたから、まさかって思ったけど。
Aもけっこう怪我してんじゃん。」

急に心配そうな目で見られるから、

「でも私は骨は折ってないからね。」

って、にっこり笑いかけたら、玉森くんも安心したように微笑んでくれたけど。

「明日から仕事だよね?終わったら来て。」

そう言ってまた、不敵な笑み。

その日から私は、玉森くんにいいようにこき使われてしまう日々が始まったのだった。

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わかめ(プロフ) - 夕空さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありませんm(__)mキュンキュンしていただいてありがとうございます(*^-^*)これからも頑張りますので、また読んでやってくださいませ(*^-^*) (2017年1月29日 22時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
夕空(プロフ) - 2話とも、凄く面白くてキュンキュンしてますヽ(*´∀`)ノこれからも頑張ってください!! (2017年1月19日 16時) (レス) id: a68f5393cb (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます♪ちょっとドSな玉森さんなんで、怒られるかもー、なんて、ドキドキしながら書きました(^^)これからも頑張ります(´∇`) (2016年7月31日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とってもドキドキしました〜!(^∀^)今までにないようなお話で、とても気に入りました(#・ー・#♪)これからも、頑張ってくださいね! (2016年7月28日 13時) (レス) id: 0c0813c9ee (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - さやさん» ありがとうございますー(/ω\)ドSが受け入れてもらえるのかどうか、ドキドキしながら書いてました(/ω\)続編も書いてみたいなーと思い中です♪読んでくれてありがとうございました(*^-^*) (2016年6月17日 8時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年5月4日 2時

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