原色Ｂ型男子図鑑

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「それから、ほっぺた熱かったよ？」

布団の中からボソボソと聞こえてくる玉森くんの声。

ほっぺたが熱かった？

それって、私が赤面してたってことかな。

「この間も言ったけど、夜とかほっぺた赤くない？」

「今日も赤かった？」

「うん。
寒いからかなあとは思ってたけど、部屋に戻ったらもっと赤くなってるし。
恥ずかしいのかと思ってたら、そうでもないし。」









またこちらに向き直った玉森くんは、

「ちょっと触っていい？」

って、きちんと断ってから手のひらをほっぺたに押し当ててきた。

「ほら、やっぱり。」

「熱い？」

「うん。
Aって体温高い感じ？いつも。」

「普通…、だと思う。」

手のひらはおでこに回ってきて、今度は首筋に乗せられた。

驚いてビクッと体を揺らした私に、

「じっとしてろって。」

とか偉そうに言いながら、今度は両手で私の両頬に触れてくる。

「めっちゃ熱いわけではないけど、微熱っぽい感じ。
もしかして風邪ひきかけてんじゃない？」

風邪！？

冗談じゃない！！

あさってはゼミで中間発表なのに！

今風邪なんてひいてる暇はないんだから。









そのまま頭まですっぽり布団をかぶって、

「寝る！」

そう宣言して目を閉じた。

明日中にパワポでレジュメ作らないといけないのに。

だけど明後日のことを考えただけで眠れなくなって、何度も寝返りを打ってしまう。

「…寝れない？」

玉森くんの声が、暗闇の静かな部屋に小さく響く。

「うん…。」

「俺も。」

部屋に低く響く空調の音にかき消されそうな玉森くんの声。

「私は明後日のことを考えてたら、眠れなくなった。」

「Aは真面目過ぎんだって。
今できてるデータを提示すればいいだけじゃないの？」

「でも、点数に響くんだよ？」

「最終的に完ぺきな形で提出すれば済む話じゃん。
なるようになるって。」

ほらまた、玉森くんっていつもこうだよね。

なんとかなるわけないじゃん、玉森くんは何もしないのに。









「クリスマスを過ぎたら、俺も少しは時間ができるから手伝ってやるから。」

「手伝ってやる？
これって、玉森くんの仕事でもあるんだよ。」

そう言い返してるのに、玉森くんはもう勝手に話題を変えてしまう。

「Aのクリスマスの予定は？」

「…興味あんの？それ。」

「ちょっとだけ。」

だけど私はその質問には答えない。

予定がないなんて言おうもんなら、二階堂くんと２人でいじってくるに決まってるから。

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