原色Ｂ型男子図鑑

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「さっき買い出しに行った時、ホテルのロビーにいた。
だから…、もしかしたらAに迷惑をかけることになるかも。」

…ホテルのロビー？

確か部屋は私達で満室になったから、きっと泊まれなかったはず。

「帰宅困難者にロビーを解放してたみたい。
多分俺らがこのホテルに泊まってるのを知った上で、ここにいるんだと思う。」

…そんな、サラッと言わないでよ。

ストーカーだよね？

いくら玉森くんには何もしなくても、大好きな玉森くんに近寄る女は許せないと思うよ？

「まあ、何もしてこないと思うけど。」









玉森くんはわかりやすくため息をついたあと、ポツポツと話し始めた。

「俺が恋愛してない理由の一つには、あの子のことも含まれてるから。」

「どういうこと？」

「確かに何もしてこないけど、俺の行く先々にいるのって、なかなか精神的にダメージ食らうから。」

確かに…、なんか怖いね。

「事務所は何もしてこないなら無視しろって言うから、放置してるけど。
さすがに今回はヤバいかもね。」

って、まるで他人事みたいに呟いてから、玉森くんは今度は１人でベッドに潜り込んでしまった。









布団を頭まですっぽり被ったまま、くぐもった声で話し始める。

「なんか…、この仕事始めてから女子が怖くなったっていうか…。
信用できないようになっちゃった。
この仕事するまでは、人見知りで女子と話すこともなかったのに。
急に女子が寄ってくるようになって。
でもそれは本当の俺とじゃなくて、モデルという肩書の俺と仲良くなりたい、的な？」

軽く相槌を打てば、玉森くんはまたボソボソと話し始める。

「そのうち、女子はみんな敵に思えてきて、話しかけられても適当にかわすようになった。
そしたら愛想悪いって変な噂が広がって。
最近では、女子は俺のことを遠巻きに見てくるだけ。
それも気持ち悪くて、女子に囲まれてると時々吐きそうになる。」

…気持ちはわかるけど。

わかるけど、ちょっと待って！？

それだけ毛嫌いしてる女子である私と、こうやって泊まったりしてることに対してはどうなわけ？









「それは…、私のことは女子として見てないっていう意味にとってＯＫなの？」

わざと低い声でそう告げれば、玉森くんはひょこっとお布団から顔を出した。

「Aはトクベツ。」

それだけ言うとまた、顔を引っ込めてしまう。

私はベッドの上に座ったまま、そんな玉森くんを見下ろしてた。

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