原色Ｂ型男子図鑑

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「何で？
私ってそんなに浮いてた？」

「浮いてるっていうか…、量産型になろうとしてんのに、どこかでそれを抵抗してる、みたいな感じ？」

わかりづらいよ、それ…。

でも、私が浮いてるってことは…。

「玉森くんって、もしかして私のこと好きなの？」

そう聞いた途端に、

「は！？」

って、いきなり大声を上げるから、なんだか可笑しくなってきた。

「からかっただけじゃん。
何でそんなに動揺するかな。」

玉森くんでも動揺したりすることがあるんだ。

ちょっとだけ、玉森くんとの距離が近付いた気がした。

玉森くんって色が白いから、ほんのり耳の縁が赤くなってるのが目立って、それもなんだか可愛くて親近感が湧く。








その耳たぶに指で触れたら、ビクッと体を反応させて身を躱すのが面白くて、

つい、追いかけるように指を伸ばしてしまった。

「…何？
何がしたいわけ？」

不機嫌そうにそう答える玉森くんを、私は今初めて１人の男子として観察してみる。

男子のくせに綺麗な顔立ちで、背も高くてスタイルもいいくせに。

どうして私は玉森くんを、１人の男子として意識してなかったんだろう。

「だって、耳赤くなってるから。
熱いのかなと思って、触りたくなった。」

これは本当。

その熱さを指で感じてみたかっただけ。

更に指を伸ばしたら、

「やめろって。」

って、子どもみたいに笑いながら身を躱し続ける玉森くんが可愛くて、つい。

ふざけ合うみたいにベッドの上で攻防戦を繰り広げていたら、そのまま…。

私は玉森くんを押し倒してしまっていた。








真上から見下ろした玉森くんの顔は、やっぱり綺麗で。

私があんまりじっと見つめてるからか、どんどん頬や首筋が赤く染まっていく。

「…ちょ、降りろって。」

ジタバタと抵抗してるけど、

玉森くんは男子なんだから、本気を出せば私なんかすぐに突き飛ばせるはずだよ？

でもそれをしないで、弱気な抵抗を繰り返してる玉森くんが不思議で、そしてとても可愛くて。

じっと観察していたかったけど、仕方なく玉森くんの上から降りてあげた。








「Aに殺されかけた。」

とか憎まれ口を叩いてくる玉森くんを、私は初めて、１人の男子として意識していた。

その綺麗な外見だとか。

毒舌な割に、優しい話し方とか。

…そっか。

女子が騒ぐ理由がなんとなくわかってきた。

玉森くんはやっぱり、その辺にいるような普通の男子とは違うんだ。

きっと玉森くんは、特別な男子なんだ。

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