原色Ｂ型男子図鑑

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その部屋は、なんていうか…。

想像してた以上に狭くて、細長かった。

壁際につけられたセミダブルのベッドと、反対の壁側につけられた鏡付きの机と椅子。

椅子に誰かが座ると、もう歩く場所もないくらいの狭さ。

私達はこれからどうしていいのか途方に暮れて、さっきからずっと入り口に立ち尽くしてる。









「とりあえず…、風呂でも入る？」

溜息混じりにそう呟くと、玉森くんはユニットバスにお湯を溜めに行ってしまった。

私はまだ、その場に立ち尽くしたまま。

いや…、ここのどこに座ったらいいわけ？

椅子？

ベッド？

いくらあの玉森くんだとしても、相手は男だからね。

まあ、女の子には不自由してなさそうだけど。

ユニットバスから出てきた玉森くんは、所在無げな私の様子を見て、また憂鬱そうに溜息をついた。

「とりあえず…、座れば？」

椅子を促されて座ってみるけど、居心地の悪さはＭＡＸ。









「やっぱ…、気まずい？」

ベッドの真ん中に腰を下ろした玉森くんは、鏡越しに私に微笑みかけてくる。

…玉森くんが私に微笑みかけるなんて、なんか嫌な予感しかしないんだけど！

「とりあえず上着脱いだら？」

そっか…。

さっきの雪で全身ずぶ濡れ状態だったんだっけ。

「玉森くんも濡れた服でベッドに上がらないでよ。」

そう自分で言ってみて、変なことに気付いた。

ちょっと待て、そのベッド…。

誰が寝るの？

てか、１人が寝たらもう１人はどこで寝るわけ？









「あ、お湯溜まったみたい。
先に入ってきたら？」

そして、今日の玉森くんは気持ち悪いくらい優しい。

「いいよ。
先に入れば？」

「てか、濡れた服のままでいたら風邪ひくよ？」

ほら。

何？この優しさ。

普段なら私が風邪ひこうが、全く気にもしないくせに。

むしろ、「移すなよ？」ってひと睨みされそうな勢いなのに。

その異常な親切さが恐ろしくて、

「いいよ、先に入って。」

渋る玉森くんをユニットバスに押し込んだ。









その隙にクローゼットを開けて、予備の毛布と枕があることを確認。

あ、パジャマっぽいものもちゃんと用意されてる。

そうこうしているうちに、もう玉森くんはお風呂から出てきてしまう。

「今、お湯溜めてるから。」

って、タオルで頭を拭きながら。

…って、バスタオル腰に巻いてるだけじゃん！

せめて服くらい着てよ！

玉森くんにパジャマを手渡して、そのままユニットバスへ逃げ込んだ。

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