原色Ｂ型男子図鑑

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「Aは何時終わり？」

って、ドリンクバーだけを頼んで。

「私はあと３０分。」

「じゃあ、ここで待ってていい？
バイト先でオードブルもらってきたんだけど、食べきれないから。」

後ろ手に隠してた大きな袋を差し出して来るけど、それ…、まさかうちの部屋で食べる気？

「二階堂くんの部屋で食べんの？うれしいなー。」

わざと嫌味っぽくそう言えば、

「いいけど…。
電気ないよ、うち。」

とか、わけわかんない返事が返ってくる。

「電気がないってどういうこと？」

「止められちゃってる、今。」

マジか！！

身近に電気を止められちゃた人がいるなんて、初めてなんだけど！！









３０分後、仕方なく二階堂くんを連れて部屋へ帰ってきた。

オードブルを広げながら、ここからは詰問タイム。

「電気が止められてるってどういうこと？」

「…電気料金払い忘れたから？」

って、悪びれもせず。

「ガスと水道は？」

「そっちは大丈夫。
だから風呂は入れるし、部屋は寝に帰るだけだから別に電気なくてもいいかなー、って。」

帰りにコンビニで買ってきたシャンメリーを開けて、とりあえず乾杯してから気付く。

…あれ？

何で私達、２人でクリスマスとかしてんだっけ？

しかもオードブルとか広げて、意外にご機嫌に。









「二階堂くんは、クリスマスなのに一緒にオードブルを食べる人もいないわけ？」

そんな意地悪を言っても、

「Aだってそうじゃん。」

って、切り返されて終了。

「このオードブルどうしたの？」

「今バイトしてる店のキャンセル品。
賞味期限、今日までだし。
捨てるっていうから、もらってきた。」

「新しいバイト決まったの？」

「クリスマスと年末だけの短期だけ。」









「そもそも何でバイト、クビになったんだっけ？」

そう聞いた途端に、二階堂くんの視線は一瞬彷徨って、

「…まあ、いろいろ。」

って、言葉を濁した。

玉森くんはプライベートなことに首を突っ込むなって言うけどさ、なんだか二階堂くんなら大丈夫そうな気がするんだよね。

「いろいろって、何で？」

「…聞いてどうすんの？」

急にシャンメリーを一気飲みするあたり、ますます怪しい。

「もしかして女性関係とか？」

「…は？違うわ。」

「じゃあ何？」

「…あの店、急に休んだりしたらペナルティがあるから。」

「何？そのペナルティって。」

「即解雇。」

それってさ…。

私が入院したから、急に休みを取ることになったんだよね？

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