TURQUOISE -BLUE-

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「あのね…、私、健永くんのこと、何も知らないんだけど。」

「俺もAちゃんのこと何も知らないよ？」

「健永くんは大学生だよね？」

「うん。」

「４年生だよね？」

「そう。」

「就職活動とかしなくていいの？
今、４年生はその時期だと思うんだけど。」

その言葉に、健永くんは黙り込む。

でも、ずっと思ってたんだ。

友達だから、聞かなかっただけ。

踏み込んじゃいけない部分もあるんだろうな、って。

でも、恋愛対象となると、話は別じゃない？






「就活は…、しなくていいんだ。」

なんだか歯切れの悪い感じで、健永くんは答える。

「何で？」

「もう、決まってるから。」

「え？もう内定出てるの？すごくない？
おめでとう。」

そう言っても、健永くんは浮かない顔。

「…ありがとう。」

って、いつもはおしゃべりなのに、それきり黙ってしまう。





「こういう話、聞かれたくなかった？」

そう聞いたら、健永くんは困ったように微笑む。

「ううん。
そうじゃないけど。
今まで、Aちゃんは何も聞いてこないから、なんかそれに甘えてた。」

「うん、聞かなかったね、何も。」

「やっぱり、気になるよね？いろいろ。」

そう言って、健永くんは浅い溜息をつく。

「今まで通り友達でいいんなら、何も聞かない。
でも、恋愛対象として見ろって言うんなら、健永くんのことを何も知らないのに、好きにはなれないよ。」

そう言ったら、健永くんは身を乗り出してくる。

「いいよ、なんでも聞いてよ。
その代わり、俺のことを恋愛対象に見てくれるなら、何でも話す。
…あ、でも、話せないこともまあ…、あるけど。」

身を乗り出してきた割には、すぐに引っ込んでしまう健永くん。





「話せないことも、あるんだ？」

「そりゃ、あるでしょ。
Aちゃんだって、そうじゃない？」

「私は彼氏には、なんでも話すし、なんでも話してほしいもん。
…でも結局、隠し事してないのは私だけで、
彼氏は隠し事してて、二股とかされちゃうんだけどね。」

なんて、笑いながら自虐ネタを言ってみたのに、健永くんは悲しそうな顔をして私を見てる。

「…俺はそんなことしないけどね。」

「わかんないじゃん、そんなの。」

「確かに、話せないことはあるけど、それは今は話せないってだけで、近々話す予定のことだから。
それまで待っててほしいんだけど。
それ以外なら、何でも聞いて。」

健永くんはそう言ってくれるけど。

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