TURQUOISE -BLUE-

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「でも、急に会いたくなったら？
もう簡単には俺ら、会えなくなるんだよ。」

「でも、休みの日には、毎週会いに行けるよ。」

「Aちゃんの休みって、平日じゃん。
俺は普通に土日休みだし、休みが合わないと思う。」

って、健永くんは私のポジティブ発言をことごとく、ネガティブ発言で論破していく。






「じゃあ、どうしたらいいの？
せっかく付き合い始めたのに、別れちゃうってこと？」

「だから、そうじゃなくて。」

健永くんは目の前にある私の手を掴む。

「ついてきて欲しいってことなんだけど。
Aちゃんに。」

「名古屋に？」

「そう。
で、Aちゃんは、千賀Aになる。
どうかな？」

そこからはもう、フリーズ。

まさか、付き合ったその日に結婚の話になるなんて思わなかった。






びっくりして目を見開いたままの私に、健永くんは手を伸ばす。

手のひらが、優しく私の頬を撫でる。

「…驚いた？
そうだよね、いきなり結婚とか。
正直、重いよね。」

うん、重いよ。

死ぬほど重い。

でも、健永くんが重いことは元々知ってるから。

そこはそんなに驚かない。

私が驚いてるのは、自分が、健永くんと結婚して名古屋に住むことを簡単に想像してることだった。

私の方が、相当重い。







「すぐに返事とかくれなくていいから。
だから、真剣に考えて。
…遠距離恋愛だって、まあ我慢できるけど。」

健永くんは私を抱き寄せて、ポンポンと背中を優しく叩く。

「ごめんね、Aちゃん。
ここに住み始めた時は、部屋が見つかるまで、って思ってたよ。
でも、居心地がよすぎて、そのうちに部屋を探すのもやめちゃった。
どんどんどんどん、Aちゃんのことを好きになっていくし。
離れたくないなーって。
まだ付き合ってもないのに、もしAちゃんが俺と付き合ってくれたら、本当のことを打ち明けて、結婚して名古屋に連れて行こうって、勝手に思ってた。
重すぎるよね、俺。」

「…重くないよ？」

小さい声で、そう答えたら、健永くんは、

「何？よく聞こえなかった。」

って、顔を近づけてくるから、

そのまま、至近距離で視線がぶつかる。

健永くんの目はもう、ほんのり色気を帯びてて、そのまま目を伏せるから。

私もそのまま瞼を閉じた。

ゆっくりと余韻を持たせて、近づいてくる健永くんの唇。

重なる前に少しだけ焦らすみたいに止まって、瞼を開こうかと思った途端に、それは重なった。

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