TURQUOISE -BLUE-

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「先週、仕事の帰りにこの店の前通ったら、千賀くんに会ったよ。
Aちゃんのお迎えだろ？
すげー健気じゃない？」

「…何か話とかした？」

「してない。
会釈して通り過ぎただけ。
てかさ、今夜暇？」

「今夜？…暇だけど、健永くんが迎えに来てくれるから。」

「飲みに行かない？
Aちゃんの話、聞きたいし。」

…聞きたいって何を？

なんか、嫌な予感しかしないんだけど。

さんざん、私達のこと聞きだして面白がる気でしょ？






だからつい、不貞腐れたような顔になっちゃったら、また藤ヶ谷さんに笑われる。

「Aちゃんの話聞いてやって、一緒に解決の道を探ってやろうかなって思ってるだけだから。」

「ほんとに？」

「本当だって。
今日、何時まで？」

「８時までです。」

「じゃあ、それくらいの時間に迎えにくるから。
あ、千賀くんの迎えは断っといて。」

私が返事に躊躇してたら、

「２人の関係が思うように進まないのはさー、刺激が足りないからじゃない？
たまには断って、千賀くんを焦らせるのも大人の女のなせる技なんじゃないの？」

なんて無責任なことを言って、藤ヶ谷さんは帰って行く。

確かに、刺激は必要かもね。

だって、最近の私達は、代わり映えのない毎日で。

健永くんは相変わらず私に優しいし、私は相変わらずぎこちなくて。

毎日仕事終わりに迎えに来てもらって、一緒に帰って、一緒にごはんを食べて、一緒のベッドで寝て。

毎晩寝る前に、ハグされながら、

「Aちゃん、大好き。」

って、甘い言葉を囁かれて。

こんな１日の繰り返し。

…これじゃ、よくないよね。









夕方、健永くんにＬＩＮＥを入れた。

[今日は友達と飲みに行くから、お迎えはいいよ]

しばらくしたら、返信が来る。

[わかった
遅くなる？
帰る頃にＬＩＮＥして
迎えに行くから]

そのメッセージがあまりにも、健気で、うかつにも涙が出そうになってしまった。

ごめんね、嘘ついた。

友達じゃないよ、飲みに行く人は。

藤ヶ谷さんだけど、それを言ったら健永くんは、絶対止めるだろうし。

でも、藤ヶ谷さんに話を聞いてもらいたいっていう気持ちがあるから。

健永くんとの話、誰にも相談できなくって。

１人でうじうじ悩んでて。

そういうの、もうやめたいんだ。

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