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「あーあ、もっと広い席だったら、寝転がって見れるのに。」

って、健永くんはずっと空を眺めてる。

私は、その横顔越しに、ずっと花火を見ていた。

花火を見ながら、ずっと考えてた。

私は健永くんとこれから、恋愛とかするのかな。

こんなにずっと健永くんのことを見てるのに、健永くんは花火に夢中で、そんな私の視線にも気付いてない。





花火が終わって、席を立とうとした私を健永くんが引き止める。

「どうせ駅とか、すごい人だろうから。
しばらくここでのんびりしてから行かない?」

健永くんは、もう花火が終わったのに、ぼんやり夜空を眺めたまま。

「健永くん、もう花火終わったよ?」

そう言っても、

「うん、知ってるよ。
でも、さっきまでここで花火が上がってたんなー、って思ったら。
なんか感慨深くない?」

って言いながら、まだ上を見上げてる。

そんな健永くんを見てると、さっきから胸がきゅんきゅんしてくるんだよ。

なんでだかわかんないけど。

子どもみたいなキラキラした目をして、何もない真っ暗な空をうれしそうに眺めてる健永くんを見てるだけで。





30分ほどのんびりしてから、駅へと向かう。

駅へ続く横断歩道の信号を待ってたら、

「健永、来てたのー?」

って、大学の同級生らしき子達が、健永くんに近づいてきた。

「あれ?みんな来てたの?」

なんて言いながら、健永くんは友達と何か話してて。

私はちょっと脇にそれて、健永くん達の様子を眺めてた。

なんだ。

同級生達に紛れてると、健永くんはやっぱり大学生に見える。

私といる時は、大人ぶってるくせに。

友達は男女数人のグループで、女の子達はピンクや水色の可愛い浴衣を着てて、男の子達も浴衣を着てた。

…そっか。

健永くんは、こんな感じで、私と花火大会に来たかったんだ。

健永くんも浴衣を着て、可愛い浴衣を着た女の子と歩きたいんだって。

…でもそれは多分、私には無理だよ。






「ごめんね、Aちゃん。待たせちゃって。」

しばらくしたら健永くんは戻ってきて、私の手を掴む。

だけど私は、それがなんだか恥ずかしくて、振りほどきたくなった。

「友達が、Aちゃんのこと綺麗だって、誉めてたよ。」

健永くんは嬉しそうにそう話すけど、私は正直嬉しくなかった。

何故だか、さっきまで健永くんにきゅんきゅんしてた気持ちが、まるで穴の空いた風船のように、みるみるうちに萎んでいくのがわかった。

やっぱり私達って、無理なんじゃない?

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わかめ(プロフ) - かぴさん» コメントありがとうございます。千賀担さんに、そう言ってもらえるのが本当に幸せです(*^-^*)もうすぐ終わっちゃうのが残念ですが、千賀くんを書くのが好きになりましたー(*^-^*) (2016年9月5日 22時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
かぴ(プロフ) - りたさんの書く作品すべて読んでますが、この作品が一番大好きです!千賀担なのですが、むしろこの千賀くんがいちばんきゅんきゅんします!本当に本当に大好きです。これからも応援しています。 (2016年8月30日 0時) (レス) id: 6713246979 (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - moemoepiさん» うわー♪そんなこと言っていただけて、ほんとうにありがたいです。私もこの千賀さんは可愛くてカッコよくて、かいてて楽しいです(*^-^*) (2016年8月17日 23時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - せんがまり。さん» ありがとうございますー。もうすぐ終わっちゃいますが、最後までよろしくですー。 (2016年8月17日 23時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
moemoepi(プロフ) - TURQUOISEの千賀くんがこのサイトの中で一番好きな千賀くんです!!これからも更新頑張ってください!応援していてます! (2016年8月16日 18時) (レス) id: 5863ad448d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年6月6日 23時

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