頑なモンブラン

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時々、車が通り過ぎる。

サークルの人の車じゃないか、とドキドキする。

でも、そろそろ、みんなも片づけを終えて帰る頃。

もし、サークルの人達の車が来たら、恥ずかしいから隠れちゃおう。

って、隠れ場所を探しながら歩く。

車の音がして、隠れようと思ったのに、隠れ場所がない！！！

仕方ないから、ガードレールの陰に隠れるようにしゃがんだ。

だけど、車はガードレール脇に停められて、

「何してるの？」

って男の人の声がして、恐る恐る顔を上げると。

全く知らない人で、

「乗せてってあげるよ。」

って、車を降りてガードレールを越えてくる。





「あ、大丈夫です！」

って、立ち上がろうとするけど、助手席からも、男の人がもう1人降りて来て。

どうしよう。

とりあえず、無視して歩き出そうとするけど、通せんぼされちゃって。

「怪我してるじゃん？
薬局連れて行ってあげるよ。」

後ろにも立たれてしまって、逃げ場ない。

歩道の下は林になってて、ここに逃げ込んだら、なんとかなるかも、とか考えてたら。

走って来る足音が聞こえて、

「A！」

って、私の名を呼ぶ声が聞こえた。

二階堂くんが、飛び込んで来て、私の前に立ちはだかる。

「何か用！？」

って、男の人達を睨み付けて、

「行くぞ！」

って、私の手を強く引いて、歩き出した。

私が気になって振り返ろうとすると、

「振り返んな！」

って、怒られる。





しばらく歩いてて、さっきの車が通り過ぎてから、

安心して、地面に座り込んでしまう。

「何やってんだよ、お前！」

って、仁王立ちで怒ってる二階堂くん。

朝から好きな人に冷たくされて、昼間は働いてばっかで、

怖い目にあって、お腹もすいて、なのに好きな人に怒られてる。

もう、いろんなことが頭の中で爆発しちゃって。

声をあげて泣いてしまった。

子どもみたいに。

二階堂くんは、そんな私を見て、オロオロしてる。





もう、頭の中、パンパン。

どうしていいのかわかんない。

今日は嫌なことが立て続けに、起こりすぎて、頭が順応できないんだよ。

「…落ち着いた？」

って、いつの間にか隣に座っていた二階堂くんが、背中をポンポンって、

まるで子供を寝かしつけるように、リズムを付けて叩いてる。

「…ごめんね。
いっぱい泣いた。」

「すっきりした？」

二階堂くんの優しい声。

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