頑なモンブラン

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「…いいよ。」

って断っても、無理にリュックを奪われる。

「重！
お前、何入れてんの？こん中w」

って、笑いかけてくる二階堂くんの笑顔に、やっぱり、キュンとしてしまう。




２人で並んで山道を下りる。

「お前、サークル辞めんの？」

「…辞める。」

それからしばらくの沈黙の後、

「はい、これ。」

って、SOYJOYを渡されて、びっくりして二階堂くんの顔を見る。

二階堂くん二度と見ない作戦も、いつの間にか勝手に中止になってる。




「さっき、こけた時に落としてた。」

「…ありがと。」

受け取って、ポケットにねじ込む。

「食べないの？」

「うん。」

「お腹空いてんじゃないの？」

「大丈夫。」




「俺が声かけた時、食べようとしてたじゃん。」

二階堂くんを見ると、いたずらっぽく笑ってる。

っていうかさ、なんで二階堂くん、私の隣で笑ってるの？

ずっと私のこと、避けてたじゃん。

テンションも低かったじゃん。

なのに、なんで笑ってんの？




「勝手に帰っちゃってよかったのかな…。」

って、呟くと、

「いいんじゃね？
１年生が２人消えてても、気が付かないでしょ。」

って二階堂くんは、スマホを取り出し、

「ほら、どうせ圏外だし。」

だって。

「二階堂くん、荷物は？」

「ないよ。」

「取りに行きなよ。」

「取りに行ったら、お前、また逃げんじゃん。」

「…逃げないよ。」

「じゃあ、一緒に取りに戻ろ？」

「…やだ。」

「ほんと、頑固だね、お前。」




なんか、嘘みたいに、普通に会話してる私と二階堂くん。

だから、聞いてみることにした。

「二階堂くん、私のこと嫌いだよね？」

って言うと、驚いた顔をして私を見る。

「何でそう思うの？」

その口調で、二階堂くんがムッとしてるのがわかる。

どうせ嫌われてるんだから、もう怖いことなんてないもん。

「だって、私にだけ冷たいじゃん。
無視するし。」

「…は？
無視してないじゃん。」

「とにかく、嫌われてるのは知ってるから。
なんで、私のこと心配してくれるのか、わかんない！」

って言ったら、突然立ち止まる二階堂くん。

「…もういいよ。
好きにしろよ。」

そのまま、早足で、私を置いて行ってしまった。

私のリュックを右肩に掛けたまま。




時計は５時を回り、私の足は重い。

二階堂くんがいなくなって、全然歩けなくなった。

多分、私の今の時速、0.5km。

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