頑なモンブラン

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「もっと、遊ぶところがいっぱいあるところの方がよくない？」

って言ったら、

「だって、歩いてすぐの所が海だよ？
海で遊べばいーじゃん。」

なんて、今すぐにでも海に行きたそうな二階堂くん。

「あ、A、ここ２週間しかいられないからね。
絶対、最短で卒業すること！
わかった？」

できるかなー。

私、あんまり、運動神経よくないんだけど。





ごはんも食べちゃって、お風呂も入ったけど。

まだ２０時。

マンションの周りに何もないから、夜が暇すぎる。

和室で２人でゴロゴロしながら、テレビを見てる。

二階堂くんはずっと千賀くんとLINEしてるし、私はテレビにも飽きて、１人でバルコニーに出た。

バルコニーはバーベキューでもできるようになってて、大きなテーブルとベンチがあるから。

そのベンチで、スマホにイヤホンをつけて音楽を聴く。

バルコニーの向こうは海だから、真っ暗で。

その中で１人音楽を聞いてたら、なんかゆったりとした気分になれた。






「何してんの？」

って、片方のイヤホンが外されて、隣に二階堂くんが座ってくる。

自分の耳にイヤホンを付けて、

「あ、この曲好き。」

って、笑ってる二階堂くんを見て、なんだか、胸がいっぱいになった。

「…ありがと、二階堂くん。」

「何が？」

「…一緒に来てくれて。」

って言ったら、

「…うん。」

って、照れたのか下を向いちゃう。

「１人で来てたら、きっと夜とか寂しくて仕方なかったよ。
ありがとう。」

そう言ったら、黙って手を握ってくれた。






「…することないからさ、もう寝ちゃおっか。」

スマホの時計は、２１時を指している。

「早くない？」

「だって、することないじゃん。」

って、部屋に入る。

ベッドが２つ並んでるけど、すごい小さいシングルベッド。

「どっちで寝る？」

って聞かれるから、

「こっち。」

右側のベッドを指さしたら、何故か二階堂くんがそこに入っちゃった。





「えー？私がそこで寝たかったのにー。」

って言ったら、

「だから、ここで２人で一緒に寝るんでしょ？」

「狭いよ？
落ちちゃうよ。」

「大丈夫だから、早く。」

って言われるから、ベッドに入るけど。

２人並んだら、もういっぱいいっぱいの幅で。

「このベッド、Aの部屋のベッドより狭いね。」

って二階堂くんは笑ってる。

「ちょっと寒くない？」

って聞いたら、

「…クーラー、１８℃設定にしちゃった。」

とか言うし。

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