頑なモンブラン

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「途中まで迎えに行ってくる！」

って、部屋を飛び出しちゃう二階堂くん。

え？え？

今、何が起こったの？

何？この展開の速さ。

さっきまで、私達、ベッドにいたよね？

あの警報ブザーから、まだ５分も経ってないよ。

でも、そんな友達思いの二階堂くんが好きなんだけど。

だけど、彼女ほったらかして行くかな。





窓の外は、すごい嵐で、よくこの中に飛び出して行くよなー、って、感心する。

しょーがない。

今日は私１人で過ごそう、って。

ベッドに潜り込む。

ちょっと前の私なら、ネガティブになって、拗ねて、二階堂くんを困らせてたかもしれないけど。

さっきまで二階堂くんが一緒にいてくれたから、それでいいや。

それになんか…、二階堂くんのそんなところに慣れてきた。

私のこと、好きでいてくれるんだから、それでいい、って。

素直に思えることができた。







しばらくしたら、いきなり開けられる玄関のドアの音。

ちょっと、ウトウトしてたから、びっくりして飛び起きる。

「え？ニカ、ここ誰の部屋？」

千賀くんの声がして、ドアが閉められる音が聞こえる。

「Aー！」

って呼ばれて、玄関に出ると、びしょ濡れの２人が立っていた。

「え？ここ、Aちゃんの部屋だったの？」

驚いてる千賀くんをほったらかしにして、

「A、買ってきた食材とか持ってきて。」

「懐中電灯持ってない？」

って、いろいろ指示してくるから。

言われたとおりに持っていくと、

「行こう。」

ずぶ濡れのままの二階堂くんに腕を引かれる。






「鍵貸して。」

って、私の手から鍵を奪うと、さっさと鍵かけちゃうし。

「行くよ！」

私の手を取って、歩いて行っちゃう二階堂くんに、千賀くんも驚いてる。

とりあえず、二階堂くんの部屋に着くと、

「A、バスタオル持ってきて。」

とか言われるから、言われたとおりに持ってくると、

「お風呂入れといてー。」

「暖かい飲み物作ってー。」

って、次々指示が飛んでくる。

緊急事態だし、言われたとおりにしてるけどさ。

なんかさ、すごい亭主関白っぽくない？

つか、超えらそう。




そんな二階堂くんの様子を見て、千賀くんは不思議そうにしてる。

たぶん、私と付き合ってること、千賀くんは知らないはず。

どうするんだろ。

言っちゃうの？

それとも、秘密にしておくの？

でも、二階堂くんは全然お構いなしって感じで、千賀くんに着替えを出してあげたり、テンション高く動いてる。

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