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こっちに歩いてくる二階堂くんに、気付いてないふりして、反対方向にある階段から降りる。

「A!」

後ろから名前を呼ばれるけど、無視して、階段を降りる。

だけど、やっぱり傷が痛くて、早く歩けないから、すぐに追いつかれてしまう。

「どこ行くの?」

後ろから腕を掴まれて、

「包帯、取ったの?」

って、傷口を見て、眉をひそめられる。






「どこ行くの?」

って、もう一度聞かれるけど、二階堂くんの顔を見たくないから、顔を背ける。

「A!」

手を振り払おうとしたけど、傷が痛くて顔しかめると、

「大丈夫?」

って、手が離される。

「買い物行ってくる。」

階段を降りてると、

「俺が行くから、家にいろって。」

って前に立ちはだかる。





…なんかもう。

無理かもしれない。

ちょっとしたことなんだけど。

私達、合わないんじゃないかな。

無理なんじゃないかな、って、マイナス思考がぐるぐる巡る。

二階堂くんも黙ったままだし。

こんなに好きなのに、二階堂くんの部屋で、なんか拒否されてるような気持ちになって。

正直、どうしていいか、わかんない。






「ごめん…。」

いきなり謝られるけど。

いいよ、なんて言えない、素直じゃない私がいる。

「何が?」

って、顔を背けたまま言ってしまう。

「…なんか、Aのこと、嫌な気持ちにさせて。」

わかってんじゃん!!!

って、思うけど、私は何も言わない。

「Aが家に来てくれて、嬉しいのに。
なんか、いろいろうるさく言っちゃったこと、ほんとにごめん。」

「もう、二階堂くんの家には行かないから、安心して。」

って、強がって階段を降り始めた。





「俺が行くって!」

「いい!一人で行く!」

でも、言葉とは裏腹に、涙がポロポロ零れてるし。

目の前には困り顔の二階堂くん。

なんかもう…、最悪。

「部屋帰ろう。
俺なんか買ってくるから。」

って、手を引かれて、自分の部屋に戻される。

「じゃ、行ってくる。」

出かけようとした二階堂くんに、

「私、やっぱり、何もいらない。」

って、玄関のドアを閉めて、鍵もしっかりかけた。

なんかもう、無性に悲しくなって。

二階堂くんとうまくやっていける自信もなくて。

ベッドに潜り込んで、一人でずっと泣いてた。

もう、外は夕方も過ぎて、薄暗くなり始めた頃。

泣き疲れて、私は眠りについた。

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わかめ(プロフ) - ニャンちゅう☆★さん» 読んでいただいて、ありがとうございます(*^-^*)やばいって、最高級の誉め言葉ですよね(*^-^*) (2016年9月19日 0時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンちゅう☆★(プロフ) - きゃーニカちゃんやばい(/////) (2016年9月18日 17時) (レス) id: 087289424a (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - mamiさん» そうなんです、あの台風の夜なんですよ。気付いてくれてありがとうです(*'ω'*)あっちこっち同時進行でご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2015年10月16日 13時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
mami(プロフ) - ニカ可愛すぎ(^^♪  玉ちゃんたちが部室で過ごしたあの夜のことですよね。。こっちでは、こんなことが(笑)リンクしてるお話がどれもステキで、あっちこっちの続きが気になりすぎますww更新楽しみにしてます! (2015年10月16日 10時) (レス) id: ebe7ab8317 (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - おすぎさん» なんか、ありがちニカちゃんかなー、って思ってww笑ってもらえてよかったです(/ω\) (2015年10月8日 17時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2015年9月25日 17時

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