頑なモンブラン

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「傷ついてないよ。
困らされてるだけ。」

って、意地悪い言い方をするから、肘でつつく。

「痛っ。
だって、そうじゃん。
Aってほんと頑固だし。
俺が思ってたイメージと違う。」

「…そんなにイメージ違い過ぎた？」

「もっと、おとなしくて、純粋な子だと思ってた。
でも、ほんとのAは、怒ったり泣いたり、なんか忙しい子だよね。」

「でも、純粋だよ？」

「…純粋な子が、付き合ったその日に、俺のこと誘ってきたり、一緒に寝て、なんて言う？」

「誘ってないよ！」

「…誘ってたじゃん。
そんなことする子だなんて、思ってなかったから、なんか…。」

「…嫌いになった？」

って聞くと、しばらく黙ってたけど、

「なんていうか…。
そのギャップに逆にやられたかも。」

って、ポツリ。

「私も、二階堂くんのイメージ変わった。」

「マジで？」

「だって、最初は優しくてカッコよかったのに。
途中から、ツンツン冷たくしてくるし。
でも、今日の二階堂くんは、子供っぽい。」

「は？俺のどこが？」

って、いきなりこっちに体を向けてくる。

「でも、そんな二階堂くんの方が好きだよ。
ツンツンしてるのも嫌いじゃないけど、子供っぽい二階堂くんは、素直だから好き。」

そう言ったら、照れてるのか、黙ってたけど、

「…もう寝よ。」

って、そのまま、2人で頭をくっつけたまま、眠りについた。








目が覚めたら、二階堂くんはもういなくて。

テーブルの上に、汚い字でメッセージが書かれた紙が置かれていた。

「ちょっと出かけてくる。
昼までには戻る。」

部屋の壁時計を見ると、もう１１時半。

着替えて、洗濯しながら、掃除機をかける。

昼まで、ってもうすぐ１２時だよ？

どこに行っちゃったんだろう。






LINEの着信音が鳴って、

[今から会えるかな？]

って、桃ちゃんからのメッセージが入ってた。

今から？

でも、両手両足、包帯グルグル巻きだから、外に出られないよ。

[家に来て。
今、ちょっと外に出られなくて。]

って返事をすると、

[すぐ行く！！！]

！マークがいっぱいついた返事が来るから、なんか急用なのかな？





１０分もしないうちに、桃ちゃんがやってきて。

部屋に通した途端に、

「Aちゃん、ごめんなさい!!!」

って、もう、土下座でもしちゃいそうな勢いで、謝られる。

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