頑なモンブラン

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すぐ戻ってくるって言ったのに、なかなか二階堂くんは戻ってこなかった。

もう、一時間も経っちゃったよ。

一緒にごはん食べたかったのに。

二階堂くんが買ってきてくれた、コンビニの袋を開ける。

おにぎりが何個かと、お茶とコーラと、プリンが２つ。

１人じゃ食べきれないよ…。

二階堂くんの部屋に行こうかとも考えたけど、

５階って、だけで、どの部屋なのかもわかんないし。

あ、やばい。

また、ウルウルしてきた。

なんか、小さい頃、知らない場所で迷子になった時のような、そんな気持ちになった。






ガチャって音がして、ようやく二階堂くんが帰ってきた。

「…また鍵かけてねーし。」

って、ぶつくさ言ってる声が聞こえて。

二階堂くんがひょこ、っと顔をのぞかせる。

ウルウルしてる私の顔を見て、

「え？
なんで？
どうしたの？」

って、慌ててる。

「…遅いじゃんっ。」

って言ったら、涙がポロって零れて。

「え？それだけで泣いてたの？」

隣に座ってくれて、抱きしめてくれるけど。

涙が止まんない。

背中をトントンしながら、

「俺が帰って来るの遅くて泣いてたの？」

ぎゅうって、抱きしめてくれる。





「なんか…、今日のこととか、いろいろ考えてたら、遅くなった…。」

とか言われても、私の気持ちは落ち着かない。

今日、いろいろありすぎた。

いっぱい泣いたし、いっぱい幸せだったり、なんかもう…。

感情がセーブできない。

だから、一緒にいてほしかったのに。

二階堂くんは、そんな感情を一人で消化してたんだ。





私が落ち着くまで、二階堂くんはずっと抱きしめてくれていた。

「食べよ？」

っておにぎりを渡してくれるけど。

食欲がない。

「…ほしくないかも。」

って言ったら、ビニールを破って、手渡してくれる。

「朝から食べてないじゃん。」

「…食欲ないもん。」

「食べないとだめだって。」

あんまり、二階堂くんがうるさいから、渋々少しずつ食べる。

でも、すぐにお腹いっぱいになったから、

「もういらない…。」

「じゃ、プリン食べて。」

って、持ってきてくれる。

なんだろう、…とても眠い。

「二階堂くん、もう帰ったりしない？」

って聞いたら、

「帰れないよ。
A心配だもん。
すぐ泣くし、
食わねーし。
俺がいないと、死んじゃうんじゃない？」

って、照れたように笑った。

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