頑なモンブラン

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「じゃあ、私も二階堂くんにどうしても、守ってほしいことがある。」

って言ったら、ちょっとムッとしてる。

自分の言うことは、聞けって言うのに、私のは聞けないの？

そんなの、ずるくない？

「私の言うことは絶対きいて。」

って言うと、案の定、不満顔になる二階堂くん。

「えー！？
なんで俺が？」

「自分の言うことだけきけ、って、ずるいよ。」

「例えば？」

「何が？」

「例えば、どんなこと、俺にしてほしい？」

…急に言われると、思いつかないけど。

一生懸命考える。

二階堂くんにしてほしいこと。

「例えば、私に優しくしてほしい。」

「してるじゃん！」

「してないよ。」

「してるって！」

「じゃあ、もっとして。」





「優しくするって何？
具体的にはどういうこと？」

「わかんないけど…。
優しくされて、幸せな気持ちになりたい。」

私にそう言われて、考えてこんでる二階堂くん。

「Aのいう優しさって、どんな優しさ？
常にAのバッグ持ってあげたりとか？
Aの送り迎えしてあげたりとか。
そんなの？」

「…なんか違う。」

「じゃあどういうの？
俺、わかんないんだけど。」

私もわかんないけど。

これだけは言えることがある。

「私に冷たくしないで。
傷つけたりしないで。
いつも私のこと考えて、大切に扱って。
それから…」

言いかけてる途中で、抱きしめられる。

「いつも考えてるよ、Aのこと。」

二階堂くんのくせだね。

私の頭、抱えるようにして抱きしめるの。

「不器用だから、俺。
うまくできるかわからないけど、頑張ってみる。
Aのことも大切にする。」






「じゃ、俺…。
帰るわ。」

って、照れたように体を離して、二階堂くんは玄関に向かう。

私も見送りについていく。

「…明日、また来ていい？」

なのに、靴を履きながら、こっちを振り返りもせずに言う。

だから、返事してやんない。

ずっと黙ってたら、不安になったのか、ようやくこっちを向いた。

「…だめ？」

「いいよ。」

「じゃあ、なんで返事しないの？」

「これからは、私の目を見て話して。
じゃないと、二階堂くんのこと、好きでいてあげない。」

どう？

さっきの仕返しだよ。

ドヤ顔で二階堂くんを見ると、

「…もー。」

って困り顔で私を抱き寄せてくる。

「ぜんっぜん、俺の言うこときいてくんないし。
手がかかるし。
もうやだ…。」

だって。

「でも好き。」

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