頑なモンブラン

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消毒薬が痛くて、キャーキャー騒いでると、千賀くんが不思議そうに、

「２人ってこんなに仲良かったっけ？」

なんて言うから、急に恥ずかしくなって、急におとなしくなる。

とりあえず、消毒薬つけて、終わりかな、って思ってたら、

手も足も包帯でグルグル巻きにされる。

「大げさだよ！」

って抗議するけど、

「ばい菌入ったら困るじゃん。」

と、二階堂くんは至って真剣に答えてくる。




千賀くんの車がマンションの前に横付けされて、

「今日はありがとう。」

ってお礼を言って降りようとすると、二階堂くんも降りてくる。

「…って、あれ、Aちゃんもここなの？」

なんて逆にびっくりしている千賀くん。

どういうこと？

と思って、二階堂くんを見るけど、ニヤニヤ笑ってるだけ。

「じゃあねー。気をつけてなー。」

って、千賀くんを見送ると、

「帰ろ。」

って、マンションの中に入っていく。

手慣れた感じで、オートロックを解除する二階堂くん。

「早く来ないと、自動ドア閉まっちゃうよ？」

って言われて、慌てて、中に入る。




「何？知らなかったの？
俺ら同じマンションだよ。」

…し、知らないよー！！！

全然知らない！！！！

てか、二階堂くんは知ってたの？！

「俺はずっと、知ってたけどね。
あの大通りのコンビニにいつも行っててー、
ベランダに大きな観葉植物置いてない？」

…当たってる。

「Aは３階でしょ？
俺は５階だから。」

「でも、私、マンションで二階堂くんに会ったことないよ？」

「あんまり、住人と会うことってないじゃん。
俺、隣に誰が住んでんのかとか知らないもん。」

「じゃあ、なんで私が３階に住んでるって知ってんの？」

「前に見かけたから。
恥ずかしいから同じエレベーターには乗らなかったけど。
３階で止まったから、あー、３階に住んでんだー、って。
自転車置き場のとこからさー、玄関のドア見えるじゃん？
で、Aが３階の角の部屋に入ってくの見えたから。」



エレベーターがやってきて、２人で乗り込む。

でも、３階はすぐに着いちゃって。

「とりあえず、お風呂一番に入って。
傷、綺麗に洗って。
わかった!?」

って、エラソーに言われて、二階堂くんと別れる。

言われたとおりにお風呂に入って、部屋着でぼけー、ってしてたら、

ピンポーンってインターホンが鳴って、モニターを見ると二階堂くんが立っていた。

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