100% PURE HONEY

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部屋に帰っても、ずっとそのことばかり考えていた。

お母さんに言ったら、なんて言うだろう？

彼氏がいる話すらしてないのに、いきなり結婚とか、相手の親に会ってほしい、なんて言ったら。

しかも、彼氏はマンションの隣の部屋に住んでる、とか。

「A、どうしたの？」

そんな私の様子に気づいたらとしくんは、私の隣に座ってくれる。

「結婚の話、うちの親にしたの、気に入らなかった？」

「違うよ。
あのさ…、うちの親のことなんだけど。
実は、言ってないんだよね。」

「俺らのこと？」

「そう。」





今までも言える機会はあったんだけど。

もし反対されて、引っ越せとか、大学辞めろとか。

最悪、こっちに来いとか言われたら。

そう思ったら、言い出せなかった。

「でも、言わないとね。」

意を決して、携帯を握りしめるけど。

電話は怖くてかけられないから、メールにしようかと試みるけど、

メールの画面を開いたまま、なんて打っていいのか迷う。






「一気に全部打ち明けちゃったら、お母さんもびっくりするんじゃない？
少しずつ打ち明けたら？」

「そっか…。
まずは、『彼氏ができたよ』でいいかな。」

とりあえず、彼氏ができたよ、みたいなメールを送ってみる。

しばらくしたら返事が来て、

[よかったね。]

だけの短い返事に、ちょっと笑ってしまう。

うちのお母さん、こういうとこ、けっこうあっさりしてんだよね。

当分、日本に来る機会もないだろうし、お父さんの海外赴任も最低５年って言ってたから、しばらく帰ってくることもないだろうし。

結婚だって、卒業してからの話だし。

まだ焦ることはないよね。






なのに、夏も終わりかけた頃、お母さんからこんなメールが来た。

[クリスマス休暇に、日本に帰ろうかな。
Aの彼氏にも会わせて。]

えええー！？！？

どうしよ…。

当分、こっちには帰って来ないと思ってたのに。

もちろん、家族で帰ってくるんだよね？

メールが来たのが、ちょうど実行委員会の作業中で。

としくんは忙しそうにしてたから、言い出せず。






[お母さん１人で来るの？
それとも家族で？]

そうしたらすぐに返事が来る。

[みんなで♪]

みんな？

じゃあ、私の部屋に泊まるってことはなさそうだし。

どこか、ホテルにでも泊まるのかな。

今年のクリスマスは、としくんとは過ごせないかも。

帰り道にとしくんに相談しようと思ってたのに、実行委員会の話ばかりになっちゃって、やっぱり言い出せず。

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