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なんか、急に涙が出てくる。

としくんも私のことを好きでいてくれるんじゃないかと、勝手に勘違いしてた。

当然だけど、としくんには、私の知らない、としくんの世界があって。

私にだけ、優しく笑ってくれてるのかと思ってた。

だけど、凜ちゃんという女の子に見せてた笑顔は、私に見せる笑顔と全く同じで。

…もしかしたら、それ以上だったかもしれない。

膝に顔を埋めて、しばらく泣いてたら、なんだか眠くなってきて、

そのまま私は眠ってしまった。




「…A?
A…、起きて…」

って声が聞こえて、目を覚ますと、ベッドの傍に、心配そうな顔をしたとしくんがいた。

「…としくん?」

って、ベッドから体を起こすと、

「ごめんね、勝手に入って。
A、急にいなくなったし、電話にも出てくれないし。
部屋で倒れてたらどうしよう、って思って。
鍵、使っちゃった。」

そうだった、前に、お互いの部屋の鍵、交換したんだった。

前にインフルエンザで、私が長いこと寝込んじゃったことがあって、

心配してくれたとしくんが、大家さんに連絡して、鍵を借りて部屋に入ってきたことがあった。

その時に、何かあった時用に、鍵を交換したんだった。

寝起きでぼんやりとした頭で、としくんを見る。

「A…、泣いてたの?」

「…何で?」

「目、真っ赤だよ。」

って、心配そうに顔を覗き込むとしくんを見て、また黙ってポロポロ涙が流れてしまう。





としくんは、何も言わずに、隣でずっと背中をさすってくれてる。

涙が止まりかけた頃、

「A、思ってること、言って?
黙って泣いてたらわからないよ。」

って、優しい言葉。

本当に、としくんはいつも、とろけるくらいに優しい。

私がしてほしいこと、全部してくれるし、言ってくれる。

だけど、本当に言ってほしい言葉は、絶対言ってくれない。

「言ってもわかんないよ。」

って、わざと言ってみる。

「わかるって!」

って、ちょっと怒った顔で、としくんが私の両肩を掴んだ。

としくんが怒った顔、初めて見た。





「どんだけ心配したと思ってんの?
何回電話したと思う?
ちゃんと話してくれないとわからないよ!」

って言われて、また泣いちゃう。

「…ごめんね。」

って、としくんは、また背中をさすってくれるけど。

一回泣きだしたら、なかなか止まらないんだ、私は。

小さい頃からずっとそう。

だから、この時も、泣き止むのに30分くらいかかってしまった。

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りた(プロフ) - あっちゃんさん» コメントありがとうございます(≧∇≦*)そう言って、いただけてありがたいです。近々更新予定ですので、どうぞよろしくお願いします(≧∇≦*) (2015年11月9日 7時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - とても好きなお話なので更新楽しみにしてます。 (2015年11月8日 23時) (レス) id: 32077ab7c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2015年9月25日 11時

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