検索窓
今日:34 hit、昨日:1 hit、合計:214,120 hit

33 ページ33

もう、どうしていいかわかんなくなって、バスルームに閉じこもってしまった。






しばらく、どうしようか考えてたら、としくんの方から迎えに来てくれた。

いつもと変わらない笑顔で、

私の好きなお菓子とココアが載ったテーブルの前に座らせてくれて、隣に座ってくれる。

「A、ありがとね。
Aの考えてること、わかってるよ。
俺に高い買い物させて、申し訳ないって、思ってんだよね?」

そうだよ。

さっきからそう言ってんじゃん…。

「でも俺は、Aにスーツ買ったげて、すごい幸せだし。
申し訳ないって、思ってくれるAの気持ちも、すごく幸せに感じてる。
だから、もう怒らないで。」

やっぱり、としくんはありえないほど優しい。

ちゃんと、私の気持ちわかってくれてるし、私のことをいつも優先的に考えてくれる。

でも、自分のことより、私のことを優先するのが嫌なんだよ。





「としくんのバイト代なんだから、としくんの欲しいもの買えばいいのに。」

「だから、その欲しいものが、Aに買ってあげたいものなんだから、仕方ないじゃん。」

「…あと、としくんは悪くないのに謝らないで。
私に怒っていいんだよ?」

そう言ったら、髪をくしゃくしゃー、っとしてきて、

「怒れるわけないじゃん。
怒ってるAだって、可愛くて仕方ないのに。」

って、おでこにキスされた。

「俺のこと考えてくれてるから、怒ったんでしょ?
何でそんなAを俺が怒んなきゃいけないの?」

としくんの頭の中って、どうなってるの?

人を傷つけるのが嫌だから、怒らないっていう話は聞いたことあるけど。

この懐の深さ、宇宙クラスだよね?





だから、

「ごめんなさい。」

って、ちゃんと謝れた。

「俺もごめんね?
でも、これからも俺の欲しいものは、Aに買ってあげたいものだから。
それは変わんないよ。」

「…わかった。」

としくんは私に優しいけど、自分の意見を絶対に曲げない部分も持ってるから、そういう時はもう従うしかない。

「だから、Aは俺がAのために何か買ってきても、笑顔で受け取って。
それが一番俺のうれしいことなんだから。」








春休みはあっという間に過ぎて、入学式の日。

大学近くのホールで行われる入学式には、としくんと、としくんのお母さんが来てくれた。

うれしすぎて、保護者席を何度も何度も振り返る。

34→←32



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (266 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
695人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りた(プロフ) - あっちゃんさん» コメントありがとうございます(≧∇≦*)そう言って、いただけてありがたいです。近々更新予定ですので、どうぞよろしくお願いします(≧∇≦*) (2015年11月9日 7時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - とても好きなお話なので更新楽しみにしてます。 (2015年11月8日 23時) (レス) id: 32077ab7c5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2015年9月25日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。